大夕張つれづれ■明石町の浄水場からの景色■|高橋正朝 #42

20014

 私が鹿島東小学校の4年生ぐらいのときだったから、もう55年ぐらい前のことになるだろうか。

 春先で、その日は比較的ポカポカして風もなく、明石町駅の山側のほうを、男の子だけ数人と、初めて上ったことがあった。

 誰と行ったのかまでは覚えていない。

 3~4人ぐらいだったので、明石町番外地に住んでいた連中だったかもしれない。山の中腹に、初めて見た浄水場があった。

 私は浄水場という言葉を知らなかったが、そのとき、その名詞を誰かが言い、明石町の水道がそこから引かれていることを知った。

 当時、ちょっとした大雨が降ると、水道から茶色の濁水が出たので、子供心に、水道は川とつながっているんだ、という想像はあった。

 浄水場は小さかったので、流れ込む水量が仮にストップした場合、1週間もったかどうか・・・・・・の規模だった。

 だから、たとえ1日でも大雨が降ると、泥水の細かい粒子を沈殿するだけの時間的余裕がないので、結果として明石町の水道の水はすぐ濁ったのだろうと思う。

 千年町や大夕張のほうの浄水場は、見たことがないので知らないが、多分、 明石町の施設よりはるかに大きかったろうと思う。

 明石町のその浄水場のある山腹からは、常盤町や千年町が見えた。大夕張のほうの一部も見えていたように思う。

 遠くには雪の白い襞をくねらせた夕張岳が見える。当時の大夕張は、5月の初めでも日陰には残雪があったくらいなので、春先でもあちこちで薄汚れた雪の塊をみることができた。

 そういう時期だったから、まだ家々では煮炊きだけでなく、暖をとるためにストーブを普通に焚いていた。

 山腹から見た景色で思ったことは、汚い空気が目立ったことだった。大気が2層にくっきりと分かれ、上層はきれいなのに、下層は薄い色であるがスモッグである。

 俯瞰した景色だと、高さが理解しにくいが、少なくても100メートルの下層は石炭を焚いている煤煙だ。こういう汚い空気の中で我々は生活しているのか、と暗然とした気分になった。

 風があれば、スモッグは流されて、拡散するのだろうが、大夕張は盆地の定義には入らないにしても、盆地に近い地形だから、風がないと空気が淀み、スモッグが沈殿するのだろう。

 そういう汚い空気を吸ってきていたにせよ、マ、今まで大した病気もせずに生きてきたのだから、人間というのは結構しぶとい動物かもしれない。


高橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2015/04/06 _ 11:44:29

昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。


大夕張つれづれ

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