富士見町 炭鉱住宅

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チヒロ君の思い出  【飯田 雅人】

 住宅の後ろの山がせまる感じから、富士見町5丁目あたりのかなり山側に何軒か並んで建っていた住宅を思い出す。

 実際、この炭砿住宅の形にははっきりとした記憶があって、幼稚園から小学校にかけて仲良かったチヒロ君が、山の方のこの形をした住宅に住んでいた。家が近かったせいもあり、よく遊びに行った。当時二階建の家は珍しかった上、よく遊んだ二階の部屋は、天井が低いのと、眺めがよかったので、よく記憶に残っている。

 確かチヒロ君の家には、玄関先に白い小型のスピッツ犬がいて、遊びに行くとよく吠えられた。それ以来、スピッツ=よく吠える犬という印象ができてしまった。

 大夕張を出て、しばらくその犬のことは、忘れていたが、1972年のミュンヘンオリンピックの水泳で、マーク・スピッツ選手がオリンピック史上最多の金メダルを獲得したと話題になった時、スピッツ選手には申し訳ないが、当時高校生だった自分が、まっさきに思い出したのは、このチヒロ君の家のスピッツだった。

 学年が上がるにつれてチヒロ君との交流はなくなったが、彼にまつわる笑えない思い出が一つある。ある日、学校で会った彼は、眉毛を全部なくしていた。どうしたの?と聞くと、花火の火薬を瓶に詰めて棒でつついていたら爆発したの、という。

 幸い、軽いやけどで済んだようだったが、その話を聞いた私は、それ以来、「花火は危ない」という意識が、身につき、その後しばらく、花火に火をつけるときは、いつも腰がひけていた。

 (2020年9月22日記)


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