北海道弁••••••ピーマン|高橋正朝 #61

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 ピーマンは、私の好物な野菜だ。

 たしか、『 クレヨンしんちゃん 』のマンガだったと思ったが、ピーマンを食べない『 しんちゃん 』に、食べさせようとする母親の『 みさえ 』とのバトルがあった。

    

 子どもが、ニンジンが嫌いだの、ホウレン草が嫌いだのという場面を、マンガやテレビのホームドラマで、たま〜に見ることがある。

 食べ物に好き嫌いのない私には、不思議な光景だ。 私に限らず、同年代以上の人は、食べ物に対する好き嫌いのある人は、すごく少ないだろうと思う。

    

 以下に書く文章は、ピーマンという名詞を利用した俗語のことなので、前置きのピーマン嫌いとは直接の関連はない。

    

 もう50年ぐらい前のことだが、ビル管理の仕事をしていた宿直明けの朝、7時半ぐらいだったと思うが、宿直室で、私を含めた複数の人間で、NHK 総合テレビを見ていたら、『 ピーマンだ 』『 ピーマンだ 』という子どもたちの喚声が、画面から流れてきた。 

   

 その場面は、NHK 札幌放送局が録画したものだった。

 その場面を流しながら、東京側で、メガネをかけた中年の男性キャスターが、子どもたちが言っている、『 ピーマン 』とは、いったいどういう意味なのでしょうかと言いながら、画面の話しが進んでいった。 このテレビ画面を見ていた我々も、最初は見当がつかなかった。

    

 多分、こういう街角のトピックスのようなものは、全国的に放送されたと思う。

 しかも、大したニュースがないときは、こういうトピックスは、1日に数回流されることがあるので、このときも同様だったろうと想像している。 だから、この稿を読んでいる人たちのなかには、そのトピックスを見たという人もいると思う。

   

 見てなかった人のために、そのトピックスを説明すると、

    

 登校途中か下校途中かは忘れてしまったが、小学生の複数の男女生徒が、ある場面に出くわしたときの喚声が、『 ピーマンだ 』『 ピーマンだ 』と騒いだというわけだ。

    

 妙齢の女性が、道路を1人歩きしているとき、そこに、乗用車が近寄り、運転席の男が女性に話しかけ、数分後、その女性が助手席に乗り込み、何処かに走り去った。 その場面を目撃した小学生が、『 ピーマンだ 』『 ピーマンだ 』と囃した様子であった。

    

 この場面は、端的に言えば、『 ナンパ 』である。

    

 若者でも、無理をすれば自家用車を購入できる時代になっていたので、自動車をナンパのツールにするのは、札幌では、頻繁ではないにしろ、普通に見る光景だったのだろう。

    

 東京でも自動車をナンパのツールにするのは普通にあっただろう。

 しかし、それを見て、『 ピーマンだ 』『 ピーマンだ 』と囃すのは誰も知らない。 だからこそ、トピックスとして放送したのだろう。

      

 ピーマンの中は、空洞が大部分だから、子どもたちが、『 ピーマンだ 』『 ピーマンだ 』と騒ぐときの『 ピーマン 』は、頭が空っぽ、すなわち、『 ナンパ 』の男女を、アホだとか、バカだとか冷笑しているのだろうと思った。

 純な子どもの直感というのは、案外的を射たものが多い。

     

 『 ナンパ 』という理解しやすい俗語であっても、そのような言葉は、『 正しい日本語の表現 』を心がけている大 NHKとしては認めるわけがない。 こんな下品な表現はしない。 バカだとかアホなんていう言葉も、放送禁止用語かもしれない。 実際、そういう言葉は、その番組では使われなかった。

    

 この場面で、小学生が発した『 ピーマン 』なる言葉は、『 ナンパ 』の代名詞のか、『 ナンパ 』した男を指すのか、それとも、『 ナンパ 』された女を指すのかは不明である。 全体の事象を意味するのかもしれない。

    

 この『 ナンパ 』の絡みの『 ピーマン 』なる言葉を発した小学生の場面を、大 NHK の札幌放送局が録画したところをみると、どうも、北海道、もっと限定的に言えば、札幌発祥のようであると、テレビ画面を見ていた我々は思った。

    

 本当にそうなのか? 今でも使っているのだろうか? と思い、ネットで、〘 流行語ピーマン 〙と記入して検索してみたら、やはり、アホだとかバカの意味合いの説明が出てきた。

    

 いくつかあった解説した文章の中には、1970年代後半から使われだした、というのがあった。 私が、テレビで見た時期と符節が合う。 

  

 誰が使いだしたか、という点については、ネットに出ている情報では分からない。 早稲田の学生が使いだした、という文章があったが、マユツバものである。 

   

 NHK 札幌放送局が録画し、ニュースの時間帯に、コーヒーブレークのように、トピックスとして大 NHK が東京で放送したということは、おそらく、全国各地に放送しただろう。 だから、アホだとかバカの意味合いの〘 ピーマン 〙は、札幌発祥の流行語だと、私は今でも思っている。

(2021年10月9日 記)


 (筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。



1件のコメント

  • 久しぶりに聞いた、『ピーマン』。
    そういえば、どうして覚えたのかまでは記憶にないけど、ピーマン(頭がからっぽ)の言葉を使っていたのは、学生時代、けっこうよく使っていたような気がする、1970年代後半。
    どれだけの年代で覚えているのだろうか。
    「あいつの頭、ホント、ピーマンだよな」
    と、言う使い方をしても、現代でもニュアンスはなんとなく通じると思うが。

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