ある郵便局員の回想

36060

 

郵便配達 突然の異動だった

悪いことに、異動の前後は

その配達地域が割り当てではなかった。

 

40年ちかくになるだろうか。

久しぶりの訪問だった。

 

あの家は、たしか自分の隅では

小学4・5年くらいの男の子が二人?・・・

小さな女の子が一人?・・・

 

家を支えていたのは婦人で、その家の大きな労働力!!

機械を使えない、勾配のある畑なのだ・・・!

気温の変化で、一夜が不安・・

開拓の中で一番奥の家だった。

 

自分は、40年の長くで、おずおず訪ねた。

 

あの配達の時、自信のない私を励ましてくれた、

あの婦人はどうしているだろう・・・

 

周りの農家は、ダム建設で買い上げになったとか・・・

あの家の跡には、そこには簡易な家があった。

 

自分には、買い上げになった周りの農家と同じように、

土地の為に入れたお金など、手もできず・・・

 

年老いた婦人は、甘ごとに乗せられ土地を貸した。

 

その後、ダム工事の関係で土地売却に協力を求められた。

土地の借り受け人は、同意を口にすることがなかった。

借り受け人はかたくなだった。

 

お願いします・・・

まだ、借り入れ期間中だから・・・・ダメ! ダメ!

 

もめにもめた、老母は精魂どころか、命を詰めた!

ダム関係者と老母と、交渉はここで絶えた。

  

そこには、強欲な老婆・・・としか写らないだろう。

 

近くの人に、経緯を聞いたとき その農家にむかって

両手を合わせ、頭をたれ・・・

 

合掌・念仏・・・

 

 

(私家本「ダムがダムをのむ!!」(越流を迎える) ~夕張シューパロダム完成お疲れさま大夕張ダム~ 2014.11,14 H.H氏「無題」より)

 


 

随想

 

 

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