キャプション『 これは真実である 』と麻薬|高橋正朝 #29
前回、続・大夕張つれづれ # 28 で、北極での原子爆弾の実験で、怪獣が出現したアメリカ映画の冒頭で、『これは真実である』というキャプションがあり、これなどは、ワッハッハで笑い飛ばせる、しかし、ワッハッハで笑い飛ばせないケースもある、と書いた。
約20年前、タイ政府が激怒した、アメリカ映画があった。
この映画に対するタイ政府の激怒は、ニュースで日本でも知られたらしい。私は、週刊誌の記事で知った。
『 週刊新潮 』だったか、『 週刊文春 』だったかまでは覚えがない。 映画の題は、英文原題をカタカナにした『 ブロークダウン • パレス 』 配給は20世紀フォックス。
ウィキペディアに記載がある。
私は、この映画は見ていないが、アメリカでの公開は、1999年8月13日、日本での公開は、約2ヶ月後の、10月9日となっている。
だから、『 ふるさと大夕張 』の閲覧者のなかには、この映画を見た人がいるかもしれない。
内容は、卒業旅行で、タイを訪れたアメリカ人女子学生2人が、麻薬の運び屋の濡衣を着せられ、無実の罪で投獄された、というものだ。
怪獣映画にも、『 これは真実だ 』とキャプションをつける感覚で、同じことをやったものだから、タイ政府は激怒してしまった。 それで、この映画を上映禁止にしてしまった。
★★★★★★★★★★
タイは、植民地支配を受けたことはないが、周辺国はヨーロッパの植民地になり、列強がアジアを侵略する際、宗教と医療、それと、麻薬を効果的に使ったことをよく知っている。
宗教と医療はともかく、麻薬には厳罰で対処しているのは、皆さんご存知のとおり。
特に、シンガポール、マレーシア、インドネシア、中華人民共和国は、運び屋であっても、外国人をも死刑執行している。
タイも、麻薬犯罪者に対しては、一応死刑がある。 しかし、上記の国々、シンガポール、マレーシア、インドネシア、中華人民共和国のように、それほど、麻薬犯罪者に対して、何が何でも、死刑、というほど強硬ではないようだ。
東南アジアを旅行していると、大麻を持ち込んでいる人間が少なからずいる。 トレッキングをしたり、屋台で10人ぐらいで食事をしていたりすると、そのうちの1人がやおら大麻を持ち出し、自分が2〜3服吸ってから、周りに勧めるのだ。
私が接した範囲では、大麻を持参した人間は、ほとんどオーストラリア国籍の男だった。 例外として、ドイツ国籍の男だったケースが2回あった。 こういうことは、二十数回ぐらいだったので、一般的な傾向かどうかはわからない。
私は、タバコの喫煙には興味がないので、大麻に対しての興味もない。 旅先で、偶発的に集まったその場限りのグループだったが、意外なことに、アメリカ人の、男性も女性も、大麻を吸ったのはいなかった。 本当は吸うのだが、東南アジアでは用心して吸わなかっただけかもしれないが ••••••。
私の観察した範囲だが、大麻を吸う者は、タバコも喫煙するのが普通のようだ。
あんな煙を吸って何がいいんだろうか、と私は思う。 そういう私だが、他人がくゆるタバコの煙が私の顔にかかっても、別段気にならない。
別な話になるが、やはり、約20年ぐらい前のことだった。 バンコクに、カオサンロードという場所があり、そこに遊びに行ったときのことだった。
カオサンロードの通り自体は、約200メートルぐらいだが、その界隈一帯は、ゲストハウスと称される安宿が蝟集しており、バックパッカーが世界中から集まることで知られている。
ある土曜日の昼下がり、カオサンの 喫茶店で、30歳ぐらいの日本人の男に話しかけられた。 その男は、根室だったか、釧路だったか、とにかく、その辺りの出身で、今は、横浜の空調工事会社で働き、1週間の休暇で、バンコクに遊びにきた、ということだった。
こういうケースでは、私は、相手にメルアドを教えることはないのだが、彼が北海道出身者だったこともあり、気安く教えた。 そして、翌日の昼に会うことも約束した。
彼は、故郷で借金をし、逃げ回って横浜にたどり着いたらしい。 彼は、北海道の原野に自生している、あるモノの愛好者ということだった。
当時、日本人のバックパッカーで、その愛好者が集まる場所が、ヤワラという中華街とカオサン界隈だった。 一部の人間は、安宿があるという単純な目的だけで、そこに引き寄せられるわけではないらしい。 あるモノの入手が目的のようである。 そのモノは、独特なあま〜い臭いがするのですぐわかる。
それで、警察官に逮捕される。 とにかく、日本人はよく捕まる。
夜になったので、その界隈で食事をすることになり、私が彼よりも二周り年長で、北海道出身者でもあり、夕食をごちそうした。 これがいけなかった。
翌日、顔を合わせた途端、『 金を貸して下さい 』
金が無いであろうことは間違いない。 また、返す気がないのも間違いない。 でも、可哀そうだから、3000バーツ貸した。
当時の正確な為替レートは覚えていないが、15,000円弱ぐらい。
1週間後に、くだんの北海道出身の男から、礼状メールが届いた。 メールを開いたら、文章オンリーでなく、趣味の悪いというか、気味の悪い模様と色をバックにした文章だった。
『 どうもありがとうございました 』
寸借詐欺と言っていいが、マ、礼状メールを寄越したことで、ヨシ、ということにしょう、とそのときは思った。
しかし、その後、PC の動作がどうもおかしい。
ヤッコさん、ウィルスをオミヤゲにして、メールにくっつけて寄越した !!!
当時、私が使用していた PC は XP。 私がインストールしていたウィルス対策ソフトでは、除去できない新型ウィルスだったようだ。
ウィルス対策ソフトを、3回作動させたが、どうにもならず、最後の手段をとり、PC をセットアップした。
これをやった人はご存知のことだが、PC の動作が落ち着くまで1週間ぐらいかかるんだよネ ••••••。
特に、最初の2日間は大変だ。 この時点まで、再セットアップは7〜8回ぐらい経験していたので、慣れてはいたのだが ••••••。
とんだ、北海道出身者だった ••••••。
(2021年3月6日 記)
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。
長い人生の中で、いろいろなことあるんでしょうが、海外で同邦のよしみを口実に近寄ってくるなんていやですねえ。
くわばら、くわばら・・・・。