ディズニーのドキュメンタリー映画『 白い荒野 』 | 高橋正朝 #30
『続 • 大夕張つれづれ #28』 で、ディズニーのテレビ番組のドキュメンタリー映画のことを書いた。
ディズニーのドキュメンタリー映画として有名なものでは、2つ記憶がある。
ただし、2つとも、映画そのものを見たのか、それとも、映画も見て、且つ、その一部分を取り込んだテレビ番組をも見たものだったのか、記憶が判然としない。
『 沙漠は生きている 』で印象に残っているシーンは、ワシがヘビを捕らえ、ヘビの頭を突っつきなワシづかみしたヘビを空から地面に落とし、それに飛びかかってヘビを仕留める弱肉強食の世界だ。
ワシだけでなく、他の猛禽類とヘビの格闘は、ドキュメンタリーだけでなく、普通の映画でも、例えば、西部劇で、沙漠の弱肉強食の世界の荒々しさの情景描写で映されることもあるので、たいして珍しくないようだ。撮影チャンスも、結構あるだろう。
しかし、こんなシーンを、どういうふうに撮影したのだろうかと、子ども心に関心を持った。
もう1つは、『 白い荒野 』における『 レミング 』の、海に飛び込む『 集団自殺 』である。 『 レミング 』が『 集団自殺 』するなんて、いつになるか分からない。 撮影隊は、長期間、レミングが集団自殺するまで、じ〜っとどこかで待っているのだろうか?。 それとも、集団自殺する兆候があって、そのとき、集中的に撮影するのだろうか?。
哺乳類の集団自殺となれば、非常に珍しい。だからこそ、『 レミング 』の『 集団自殺 』が有名なのだろう。
この、『 レミング 』の集団自殺は、当時のマンガ雑誌の、科学的な読み物記事で何回か読んだことがある。 学年雑誌の記事でも読んだ記憶がある。さすがに、理科の教科書には載っていなかったが ••••••。
この『 レミング 』の『 集団自殺 』は、ディズニーが、ドキュメンタリー映画と謳っていた、『 白い荒野 』の影響が大きい。
『 レミング 』が、映画のなかで、次々と海に落ちて死ぬ、すなわち、『 集団自殺 』は、トリック、すなわち、ヤラセだった、というのは、10年ぐらい前に初めて知った。
一時帰国したとき、札幌のジュンク堂書店地下1階の、科学雑誌売り場で買った雑誌に載っていた。大量の『 レミング 』が一方向に向かうトリックも説明していた。
その雑誌は、『 ナショナルジオグラフィック 』の別冊だったような気がするが、別な雑誌だったかもしれない。その雑誌は、バンコクのアパートの私の部屋の中にあるのだが、本とゴミの中に埋もれており、探すのがメンドウなので、その雑誌の名称はやむを得ず省略。
『 レミング 』の『 集団自殺 』は、ネットで検索すると、簡単に出てくる。 ウィキペディアにも記載がある。
私の年代は、『 レミング 』の『 集団自殺 』を信じ込んでいた人は、結構いるはずだ。 理由は、上記のディズニーのドキュメンタリー映画と謳った、『 白い荒野 』のせいである。 マンガ雑誌などに載っていた記事も、この『 白い荒野 』からの無断引用だったろうと推察できる。
若い世代の人たちは、正しい知識があるだろう。
年配者でも、子ども、もしくは、孫がいる人は、『 レミング 』の『 集団自殺 』はないと、知っているだろうと思う。
私のような独身者は、現在の学校での教科書の内容に疎い。 自分の日常生活で、新しい、または変更された内容の、そういうテキストに接する機会がないからだ。
だから、大夕張での子ども時代に覚えたことが、記憶に刷り込まれて化石化してしまった。
(2021年3月13日 記)
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。
『レミングが集団で次々と川の中に入っていく映像』は確かに見たことがある。
TVの映像か、鹿島小学校の離れの映写室の中でだったと思う。
その映像は、小さくて愛らしい動物の姿と『集団自殺』という衝撃的な言葉が、結びつき頭の中に長く残った。
今もわすれていない。
60年以上前のことだ。
・・・子ども時代にすり込まれた記憶は、かくも人の意識の下に存在し続ける・・・。