食憶(その12 川原の鍋)|長谷川潤一
息子が楽しみにしていた樽前登山が都合で中止。
かわりに何かしようかということになり、先週、宿泊研修でカマド係りをバッチリやりこなしたという息子の腕前を確かめるため、思い出したのが「炊事遠足」。
炭火の焼き肉でもなく、海の幸ありのバーベQでもなく、もちろんおしゃれなアウトドアでもなくて、米、味噌、鍋釜背負っての、そうです、あの「炊事遠足」です。
陽の当たる中ほこりの舞い上がる道を、官行や白金へと、学年別民族大移動のように歩きましたね。
班分けをしてメニューを決めるんですが、「カレーライス」「ブタ汁」「ジンギスカン」、この三大メニューからの呪縛は逃れられませんでしたね。
購買会が安い、生協はまけてくれると買い出しに行き、鍋は×君持つならば、具は○さん、スイカは重いから男子が交替で行くとか、楽しかったです、はい。
今日は、朝からバタバタとカレーライス遠足用の買い出しから始まりました。
まず、カレー用牛肉(ブタでしたよね当然)、定番のバーモントカレー甘口、福神漬け、家になかったニンジン、ボトル飲料数本、必須アイテムのアルミ鍋24㌢級二つ。
その他持ち物は、米3合、水10㍑、タマネギ3個、イモ6個、食器、マッチ(着火ガス系は邪道!)、片手ノコ(流木薪切り用)などです。
舗装された道を滑らかに官行までドライブ。
イタドリやササに擦られながら、官行の川原へと降り立ちました。
ちょうど昼時、そこそこの天気、ウグイスが鳴き交い、虻さんブンブン、冷たいシューパロ川。
息子と薪拾い、ノコ講座、カマド囲ってマッチで火起こし。
ご飯鍋に石のせて、野菜の煮え具合を見ながらの火力調節、その合間の川遊び、単純にワクワクしてカレーの出来上がり。
けど、鍋釜背負って、暑い道なりをなんだかんだと、みんなと歩いた時のほうが楽しかった。
今はない、学校行事の楽しい思い出ですねー、ほんとに。
(2001年7月15日 記)
長谷川さんお久しぶり!官行での炊事遠足楽しかったですね。私も学校行事やご近所行事で何度かやりました。曖昧な記憶ですがS30~35年頃の炊事遠足では専ら豚汁を作っていました。カレーも作っていましたが、市販の固形ルーはまだ無くて、SBカレー缶を使っていたはずです。が、小麦粉を炒めた記憶も玉葱を炒めた記憶も無い。どうやってとろみを出していたのだろう?と思います。仕上げに小麦粉を投入したのか・・。なお、ジンギスカンが家庭料理に定着したのはS30年代の後半頃だったように思います。
この歳になっても、炊事遠足の時の空の青さ、河原の水音、涼しい風、石の白さ、水遊び、がけに反射する子供等の声、お母さん達の楽しそうな様子が感覚的にも視覚的にも思い出せる。有り難いことです。そしてこれらを思い出せることは、私の生きる力にもたぶんなっているのだろう、と思う。お元気?