『安田のおばさん』の味|飯田雅人

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 今日,母がTV番組の道産子ワイドでやっていたからといって、『おふくろ煮』というおかずを作りました。

 キャベツをあぶらげと一緒に煮たしょうゆ味の食べ物です。

 
 これを食べるといつも思い出すのは『安田のおばさん』と呼んでいた一人の女性です。

 

 昭和40年前後,父が北大病院に入院し、母が付き添いで札幌に出ていた時、何日間か家に泊まりこみで、小学生だった私達兄弟のお世話をしてくれました。今でいう家政婦さんのような方でした。

 

 
 白い髪を後ろで縛り、小柄なやさしいおばさんでした。というかしわの刻まれた笑顔の福々しさは、おばあちゃんという感じでした。着物に白い前掛けがよく似合いました。

 

 私達兄弟のお世話だけでなく、話し相手にもなって、父母のいない淋しさを忘れさせてくれました。

 
 おばさんがよく作ってくれたおかずで、一番忘れられない味が、その素朴な『おふくろ煮』の味でした。

 白いご飯とお腹いっぱい食べたものでした。

 
 あの山の中の町に住んでいた、いまでも忘れられない方の一人です。

 
 当時、栄町に息子さんと住んでいたという話です。

 
 あれから30年以上もたち、今では90才以上になっていると思います。

 どうされているのでしょうか。

 

(1999年10月21日 記)


思い出ばなし

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