薪を焼べる、石炭を焼べる、火を焼べる | 高橋正朝 #205

110210

 

 

 4日前、 ネットに配信されたいくつかの記事を読んでいたが、そのなかに、クイズスタイルで、漢字の読み方の質問があった。 

   

 以前に書いたことだが、この手の質問に対する私の正解率は、3割ぐらいの体たらくだ。

    

 今回は5割ぐらいだったが ••••••。

    

 質問のなかに、〘 焼べる 〙の読み方は?があった。 

   

 前後に文があれば、読める可能性もあるのだが、〘 焼べる 〙だけが表示されると、???になってしまい、制限時間の10秒で、私は解答不能だった。 

   

 じつに情けない •••••。

    

 正解は〘 くべる 〙である。

    

 東京にでてから、〘 薪を焼べる 〙、〘 石炭を焼べる 〙なんて動作をしたことは皆無だった。 

   

 ビル管の仕事で、暖房用のボイラーを操作したことは、いくらでもあるが、〘 重油を焼べる 〙なんて、誰も言わない。 ただし、〘 ボイラーを焚く 〙、〘 重油を焚く 〙という表現はある。

  

 明石町番外地にあった我が家では、私が幼児のころは、薪ストーブだった。 これを、石炭ストーブに替えたのは、たしか、私が鹿島東小学校の2年生ぐらいだったような気がする。 

   

 だから、〘 薪を焼べる 〙、〘 石炭を焼べる 〙は、ごく普通の動作で、日常の表現だった。

    

 その他に、〘 火を焼べる 〙という表現があった。

    

 中学生になったころ、〘 薪を焼べる 〙〘 石炭を焼べる 〙という表現がヨシとすれば、〘 火を焼べる 〙という表現は、オカシクないか?という疑問が生じた。

    

 この疑問は、クラスメイトにも話さず、先生にも質問することはなかった。 そういうとこが、私のダメな点だ。 

 

 今回、〘 火を焼べる 〙という表現に対する疑問を思い出し、ネットでチェックしたら、予想に反し、〘 火を焼べる 〙という表現は正しいと解説されていた。 これには、ちょっと驚いた。

  

  

   

 クラスには、黒板に向かって前方の左側にストーブが置かれており、冬季、日直が、普通の登校時刻より20分か30分ぐらい早く教室に到着し、ストーブを焚いた。

    

 授業時間中は、ストーブのすぐ近くの生徒が、時どき石炭をストーブに〘 焼べて 〙いた。

    

 この〘 石炭を焼べる 〙のは、決まりごとではなかったが、男子生徒がするのが暗黙の了解だった。

    

 授業が終了したあと、掃除当番が、石炭ガラをトタンでできた容れ物で捨てに行き、その容れ物に石炭庫で石炭を入れ、教室に運ぶのも、男子生徒がしていた。 

 

(2024年7月13日 記)



     

(筆者略歴)   

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。

メール宛先:taka-jp@outlook.com  (メール宛先変更になりました)

  


   

   

   

1件のコメント

  • 『◯◯をくべる』、そういえばそんなそんなことがあったなあ、と生活体験と結びついて思いだされる。
    石炭ストーブならではの実感だろう。
    大夕張では、ずっと石炭をくべて、ストーブをたいていた。
      
    自分が、そんな言葉を使わなくなったのは、いつころからだろうと考える。
     
    札幌に出て住んだ祖父母の家の暖房はすでに石油ストーブだった。「火」はつけた。
    それでも、風呂は薪ストーブだった。
    だから、「薪をくべて」、「風呂をたいて」いた。
     
    しばらくして、温水ボイラーが登場し、薪ストーブは消えた。
    「くべる」ことはなくなった。

     

     

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