松本あきら(零士)の『電光オズマ』|高橋正朝 #20

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 松本あきら が若いころ描いたマンガの主人公の少年少女は、眼に特徴があった。

 少女マンガの主人公は可愛く描かれ、眼が大きく描かれて、内容もポエムっぽかった。

 少年マンガは、SF ものや、戦争ものがわりと多かった。

   

 鹿島中学校2年生のときに、明石町に住んでいた誰かから、少年マンガ雑誌『 ぼくら 』を借りた。講談社の小学校高学年向け月刊誌である。

   

 マンガ雑誌は、すでに週刊誌時代であり、我が家でも、『 少年サンデー 』を購読していた。しかし、部数は減少していても、月刊誌もまだ発行されていた。

   

 そのときの『 ぼくら 』に、松本あきら の作品、『 電光オズマ 』があった。マンガ好きなアナタなら、覚えているでしょう。

 その『 ほくら 』の本誌ではなく、付録の『 電光オズマ 』の表紙が、やけにリアルだった。

   

 主人公の『 オズマ 』が、戦闘機のコックピットに乗っている絵だった。絵すべてがリアルなのではない。主人公の絵柄は、あくまでマンガである。

   

 主人公が乗っている戦闘機が敵に攻撃され、その戦闘機の風防ガラスに入ったヒビだけがリアルなのだ。そういうイラストである。

   

 そのリアルすぎる風防ガラスのヒビは、どういうふうに描いたのだろうかと、随分考えた。真剣に、宿題もせずに学校の勉強もせずに ••••••。

   

 後に知ったのだが、手描きの画の上に、ヒビを入れたガラス板を置いて原画にしたものだった。コラージュ ではないが、その変形のようなものか ••••••。

  

 コラージュ という言葉を知ったのは、鹿島中学校2年生のときの美術の授業でだった。それで、松本あきら( 零士 )の『 電光オズマ 』が乗っている戦闘機の風防ガラスのヒビの画の手法を知ったとき、コラージュ という名称を思い浮かべた。

 秋ごろだったが、美術の授業で、村山貢 先生からの課題で、コラージュ の作品を作ることになったのだが、いいアイデアが思いつかず、雑誌から切り抜いた白人の写真を、「 演説する人々 」な 〜 んていう、これまた、イージーな、かなりいい加減な題にして、適当に貼り付けた。

   

 貼り付けた写真は、ディズニー、アデナウワー、マクミラン、フルシチョフ、の顔写真と、手足は誰かのものを不自然に貼り付けた。

   

 いいアイデアが出なかったので、ヤッツケ仕事である。ホント、出来が悪い、と自分でも思った。

   

 村山 先生も、努力のカケラもないヤッツケ仕事だと分かったとみえ、その作品の点数は辛かった。

(2021年1月2日 記)


(筆者略歴)

 昭和23年11月大夕張、明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。

 以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


1件のコメント

  • 子どもの時に見て思ってふと疑問に感じたこと、これは多かったと思います。
    ほとんどの場合、その場では解決せず、そのことは、大人になってから「そうだったのか」と解決にいたるわけですが。自分の場合、もう少し、勉強中に感じてくれれば良かったんですが、笑。
    ところで、高橋さんが、鹿島中学校の美術でコラージュした4人の内、ディズニーと、フルシチョフは、ともかく、アデナウワー、マクミランは、すぐには、わかりませんでした。
    西ドイツはブラント、イギリスはヒースあたりから、記憶がでてきます。
    _
    新聞を読んだり、世の出来事に興味を持ちだしたのは、中学生の頃でした。

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