そり

19190

 

 『そり』といえば、この赤茶けた台車のような形をした、木製の『そり』しか覚えがない。

 台車の下の車輪の代わりに、細い二本の板に、鉄板が打ち付けてあった。

 小さいころ、冬は購買会への買い物に手伝いをして、これでみかん箱や、リンゴ箱を載せて運んだこともあった。

 力で押すタイプでしかも、重心がやけに高くて不安定で、とても運びにくかった記憶だけが鮮明に残った。

 あるとき、そりをひっくり返して、そのたよりない細い二本の足の裏を、見てみたことがあった。

 すると雪に出ていた石をふんだのか、細い鉄板に擦れた傷がつき、打ち付けた釘がぬけかけていた。

 これで、よくあんな重いものを運んだり、滑って遊んだな、と今は思う。

 

  

 

白黒写真に着色した画像
昭和35年ころ 
富士見町5丁目あたりの線路そばの空き地

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