大夕張劇場の映画ポスター、〘 透明人間と蝿男 〙|高橋正朝 #91
この映画も、実際には観ていない。 しかし、例によって、映画のポスターを、大夕張劇場のガラス戸ごしに眺めている。
1957年8月25日に主要都市で封切りされたようであるから、大夕張劇場で上映されたのは、その年の秋だったろうか ••••••。
この映画も観たかったが、もし、観たいと言ったら、親は、「ダメ!」と言っただろう。
というのは、映画のポスターには、半裸の女性の肩に、蠅男が止まっているからだ。
このポスターは、ネットで見れる。
この半裸の女性のポーズは、別に煽情的というほどでもないし、成年指定でもなかったはずである。
しかし、手塚治虫のマンガに、キスシーンが描かれただけで、当時の、常識というか、世の良識のカタマリのオバさんたちに指弾されていたくらいだから、もし、小学3年生の私が、1人で、大夕張劇場に入ろうとしたら、チケット売り場のオネエさんに、阻止されただろうと思う。
この〘 透明人間と蠅男 〙は、ネットを探ると、予告編を見ることができます。
ただし、どういうわけか、著作権の関係か、ナレーションは英語である。
映画そのものは観ていないが、ポスターが張り出される1ヶ月くらい前、予告編を、大夕張劇場で観ている。
親に連れられて行ったのであるが、そのとき、妹と弟は一緒ではなかったので、一家で映画館に行ったわけではない。
母親に連れられて行ったのか、父親に連れられて行ったのかも覚えていない。
親が観たかったであろう映画のことは、何も覚えていない。
〘 透明人間と蠅男 〙の予告編のおどろおどろしい音楽と、翔んでいる蠅男、暗い部屋で、包帯をゆっくりと解く透明人間の場面だけを覚えている。
当時のポスターのことは、細かく覚えてはいなかったが、今回、蠅男が半裸の女性の肩に止まっているポスターを見つけてピンチアウトしたら、出演者に、叶順子の名前があった。
しかし、ポスターの半裸の女性は、どう見ても、叶順子ではない。 いったい誰であろうか?
(2022年5月14日 記)
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。
『透明人間』というテーマは、子どもにとっては魅力的なテーマだった。
姿が見えなければ、帽子をとったり、くすぐったりして驚かせることができるなあ、とたわいもないことを空想していた。
HGウェルズ原作の小説を当時児童ものに翻訳したもので読んでいて、悪行を繰り返した末に主人公が迎えるラストがとても印象的だった。
『透明人間と蠅男』のオープニングロールで脚本高木彬光と出てきた。
高木彬光といえば、推理小説好きだった父の書棚にたくさん並んでいたなあ・・・。
テレビや映画で『白昼の死角』や『検事霧島三郎』などの作品をみた記憶もある。
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尚、前回同様高橋さんの文章に添えたのは、当時の大夕張劇場の写真に『透明人間と蠅男』と、前回の『宇宙人東京に現る』のポスターを映画の看板に貼込んだ合成写真。