協和会館の映画ポスター〘 ある脅迫 〙|高橋正朝 #99

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 この映画のポスターを、私が、鹿島東小学校の6年生のときに、協和会館で見かけただけで、映画そのものは、実際には見ていない。 

   

 〘 ある脅迫 〙は、日活が製作した映画である。

    

 当時、協和会館で上映する映画は、洋画が多かった。

 もちろん、邦画も上映していた。

    

 その邦画の中では、日活作品が多く、石原裕次郎、小林旭、和田浩治、芦川いづみ、吉永小百合、などが出演する映画のポスターをよく見かけた。

    

 それら、普段は、華やかな、美男美女のスターが写っているポスターとは違う、何やら、暗っぽい日活のポスターが張り付けられたことがあった。

 題名も暗い、〘 ある脅迫 〙。

 当時の日活映画としては大変珍しい。

    

 出演者は、金子信雄、白木マリ、西村晃、である。

 スターはいない。

 しかし、白木マリは、脇役であるが、日活映画にはわりとよく出演しており、名前も覚えやすいので、映画は見ていなかったものの、ポスターや月刊誌の明星や平凡などで名前は記憶していた。

    

 しかし、金子信雄、西村晃、の名優を、上記のポスターを見かけた以前にはまったく知らなかった。 2人の名前を認識したのは数年後である。

    

 〘 ある脅迫 〙の原作者は、多岐川恭。

 小説は、後年、四十年ぐらい前に読んでいたが、ストーリーなどは忘れていた。

    

 この映画のビデオが、無料のユーチューブに現われたのだ。 突然である。 1950年代のアメリカのギャング映画のビデオをユーチューブで見終わってから、他のプログラムをチェックしたときに見つけた。

    

 洋画のプログラムのなかに邦画がある場合、たいてい、その邦画には英文字幕がある。 はたして、〘 ある脅迫 〙もそうだった。

   

 偶然出てきたプログラムだったから、それをタップし、すぐ見ることができた。

    

 しかし、検索欄でチェックする場合、日活の名を入れないと、素直に出てこない。

    

intimidate, nikkatsu, youtube 

  

 と、検索すると、すぐに出てきます。

 出演者のセリフの音声は、すべて日本語である。

      

 上映時間は、1:05:50 で、当時のサラリーマンの宴席や風景、蒸気機関車に牽かれる汽車などが画面に映され、ストーリーとともに、それらも楽しめる。

    

 ショートカットメニューの画面の右半分は、黒メガネをかけたソフト帽のヤクザの顔になっている。  

 

 この時代、黒メガネと呼称するのが普通で、映画の中でも、黒メガネと言っている。

 一般的にサングラスと言われるようになるのは、この映画の5〜6年先になってからだ。 私などは、いまだに黒メガネと言うことのほうが多い。  

(2022年7月2日 記)

 


    

(筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


   

1件のコメント

  • 『ある脅迫』
    1960年の日本映画。
    後年、ニヒルな西村晃が、黄門様になった時は、びっくりした。
    原作の多岐川恭は、当時、父の本棚の推理小説全集に入っていた。
    直木賞も受賞していた。
    学生時代、芥川賞受賞作を文庫本で買って読みあさったことがある。
    しかし直木賞は通俗的で敬遠するところがあった。
    もちろん、無分別な学生ゆえのこと・・・
      
    当然今は気楽に読める方がずっといいが、時々、眠くなるような『純文学』も眠れぬ夜の睡眠剤として読みたくなる。(笑)

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