北海道弁••••••はんかくさい。|高橋正朝 #108

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 私の子どものころ、特に、鹿島東小学校時代によく使っていた言葉である。

 もちろん、周りの大人も使っていた言葉だ。 しかし、私が中学生ぐらいになった時分から、あまり使わなくなったような気がする。 

 

 東北弁がルーツだろうと思いつつ、ネットでチェックしてみたら、果して、そのとおりだった。

 一般の国語辞典にも採録されている言葉のようなので、一応、広辞苑を紐解いたら、こう出ていた。

    

半可臭い

    

《形》(北海道・東北で)ばからしい。あほらしい。

    

 はんかくさい、の漢字混じりの表現は、今回チェックするまで知らなかった。

   

 ネットには、さらなる根源に言及しているものがあり、北前船ルートが開発される前、大阪と北海道の交易を独占していた近江商人が使用していた言葉であることを挙げていた記事があった。

    

 だから、北海道・東北地方のみならず、近畿地方でも、かつては使われていた言葉だ、としている。

    

 語源としては、上記の説が妥当のように思う。

    

 ネットで〘 北海道弁、はんかくさい 〙の項目で現れた記事を順番にチェックしていったら、かなり後半に、面白い記事が出てきた。

    

 〘 ハッカ臭い 〙〘 はんかくさい 〙としたものだ。

 絶対にこれが語源だと言っているのではなく、ひとつの説として紹介している記事だ。

    

 北見地方に入植して、ハッカの栽培の苦労をした人物のことが書かれている。 興味を持たれた人は、

検索欄に、

 

〘 パーティージョークの「小ネタ」をお贈りします。北海道弁「はんかくさい」の語源 〙

 

と書き込んで検索すると、ドンピシャででてくる。

    

 北海道のハッカということで、思い出したことが2つある。

    

 鹿島東小学校4年生になって、社会科の補助教材として、地図帳の購入があった。

 帝国書院の地図帳だった。 地図の好きな生徒の1人だった私は、わりとよくその地図帳を眺めていた。

    

 今の小学生の高学年向けの地図帳はどうなっているか知らないが、当時の地図には、その地の特産品が、小さな赤文字で書かれていた。

    

 今でも記憶にあるのは、岡山県と鳥取県の県境にある人形峠のウランである。

 それを見るまで、日本で、ウランが採れるなんて知らなかった。 鉱物資源としては、他に、新潟県糸魚川のヒスイがあった。

 北海道では、紋別の鴻之舞の金があった。

 農産物としては、地図上の、北見・紋別地方のほぼ同じエリアに、てんさいとハッカがあった。 思い出したことの1つ目は、この赤文字のハッカのことである。

    

 思い出した2つ目は、城山三郎『鼠:鈴木商店焼打ち事件』という小説である。

 この本のなかで、わずかだがハッカに言及した部分があった。 私が、ちょうど30歳のときに、この本を文春文庫で読んだ。

 読んだ人はご存知のことだが、小説というよりもノンフィクションの部類といえる。

   

 番頭・金子直吉が、大勢の従業員を前にして、ハッカで大いに儲けた、という場面があった。

 ハッカで儲けが多かったということに驚いたことで、私の記憶に残った。

 ハッカは、北見地方の特産ではあるが、だいたいが、農産物は、儲けが大きいものではないと私は思っていたのだ。   

 

 鈴木商店の倒産のことは、鹿島中学校2年生のときの歴史の教科書にでていたが、倒産の具体的な理由は、この本を読むまで知らなかった。

 興味はあったのだが、調べる術はなかった。

 当時の教科書には、箇条書きのように台湾銀行のことが書かれていたのだが、具体的理由を補筆するものではなかった。

    

  

余談になってしまったが、

 

〘 ハッカ臭い 〙→〘 はんかくさい 〙

 

も、語源と推測したうちのひとつだろうが、ハッカ栽培は、北海道入植者が始めたものだから、時系列的に考えると、〘 はんかくさい 〙の語源は、かつて近畿地方で使われていた言葉で、それを近江商人が広げた説に分があるように思う。

 ただし、こういった語源説は、必ずしも1つに収斂するものでもないのも然りだ。

      

 使われ方としては、皆さんご存知のことだが、私の場合は、親に何かを言うと、

 

『なァ〜にはんかくさいことゆってんの』

 

と叱られるときの言葉だった。

    

 何かを失敗したときは、

 

『はんかくさいことばかりして』

 

なァ〜んて言われたりもした。

  

 子ども同士で遊んでいるときに、何かをした動作がもどかしかったり、ぶきっちょなことをした場合、『はんかくさい』、『はんかくせェ』と言われたり、言ったりしていた。

 このケースでは、今で言う、ツッコミである。

    

 罵りの言葉であると言っていい。

    

 しかし、〘 バカ 〙とか〘 アホ 〙という罵り言葉よりは柔らかい印象だ。

    

 東京と大阪では、〘 バカ 〙とか〘 アホ 〙とか言われたときの印象が違うらしいが、〘 はんかくさい 〙と言われたら、どういう感情になるだろうか。

 意味がわからないから、ただキョトンとするだけかなァ?

  

(2022年9月4日 記)

 


(筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


    

    

    

1件のコメント

  • はんかくさい
    とは、よく言われたり、使った言葉だ。
    愛情、親しみの中に相手をたしなめる意味合いもあったように思う。
    _
    今は、もう使う相手もいなし、言ってくる大人もいない。
    _
    初めて、北海道弁を使うTVドラマを見たとき「はんかくさい」というセリフを聞いたとき、違和感があった。
    北海道弁を強調するために「はんかくさい」が強調され、どこか違うような気がして作為を感じた。
    _
    今ではふだんの生活の中より映画やドラマの中で出会うことがむしろ多いので、耳が慣れてしまった。

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