クマが出没 おおさわぎ
秋になると、羆は餌を探しに里に下りてくる。
山の寝穴に引き釣り込まれたら最期生きてはもどれないとと大人達に言われていた。
大夕張の子どもたちは、けっして山の懐深くには入らないようにと、周囲の大人達から言い聞かされた。
この時期、9月から10月にかけて、餌を求めて熊が山から降りてきてことはあったようだ。
以下の記事は昭和37年10月3日の北海道新聞にのったもの。
この日は、6月にシューパロ湖駅が開業したばかり、この3日後に、鹿島道路の開通式が行なわれるという時でもあった。
昭和37年10月3日、午前6時半頃のこと。
三菱大夕張鉄道上り列車がシューパロ湖駅を発車してまもなく、二股ダム(大夕張ダム)管理事務所にさしかかった。
その時、機関車に乗っていた機関助手の前村繁男さんが、前方、線路脇に大きな黒い障害物のようなものを発見した。
列車を急停車させ、確認したところ、そこには推定3、4才のクマがうずくまっていたのだった。
そこで、たまたま鉄道脇の道路を通行中だったトラックや、オートバイを止めて、大きな音をたてて騒いだところ、クマは崖の中に姿を消した。
この間、三分程の出来事であった。
列車は、程なく発車することができた。
連絡を受けた夕張署南部巡査部長派出所では、周辺のハンターたちとともに現場にかけつけ、クマの行方を追ったが発見できず、引き上げることとなった。
関係者によると、三菱大夕張鉄道沿線にクマが出没したことは、これまでなかったとのこと。
今回が初めての出来事だったという。
この日の出来事は早朝。
熊が列車をとめたという話は、高橋正朝さんの記憶にもあった。
『大夕張つれづれ■列車を止めた熊■|高橋正朝 #4』に載っている。ただ、この日の出来事であったかどうかはわからない。
次は『大夕張つれづれ』に登場する高橋さんの『列車を止めた熊』のはなし。