番外編••••••ビンロウ( 檳榔 )とビンロウ・ガール | 高橋正朝 #115

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 前回、ドングリのことを投稿したので、大夕張とは何の関係もないが、台湾に行ったときに初めて見た、外観が少々大きいドングリに似たビンロウのことを書きます。

   

 ビンロウは、東南アジアや中国で一般的に見られる。 

 スマホで検索すると、写真つきの記事を見ることができる。 ネットに載っている写真を見ると、ビンロウのサイズは、私が実見していたモノよりも大きい。

    

 ビンロウを初めて見たのは、台北に到着してから3〜4日後の土曜日、1人で繁華街で歩いているときであった。

 漢字では檳榔で、ビンロウと発音する。

 中国語の発音やアクセントはやたら多く、中国語をカタカナやヒラガナにしてそのとおりに発音しても、全く通じない。

   

 しかし、世の中には例外があるのが普通である。 カタカナのビンロウを、日本人が発音したとすれば、マァマァ通じる。

   

 漢字のツクリを見ると、日本式に発音すれば、ビンロウと呼ぶような気配である。 それはマチガイではなかった。 

   

 しかし、具体的なことは何もわからない。

    

 台湾に行って、見たり、買ったりした人はわかるが、小さな店で売っている。 見た目は何やら食べ物のようである。 安いので、ビンロウそのものは、漢字で檳榔と書かれた小さな紙箱に入れられて売られている。 繁華街では普通に見かける。

    

 箱に入れられたモノ以外、店員が、1個のビンロウに、葉っぱに白っぽいものを塗り、その葉っぱでビンロウを包むのだ。

  

 葉っぱで包まれたビンロウは、10個ぐらいビニール袋に入れられて売られている。 何日も、作りおきはできないようである。 少し離れて店頭を観察していると、購買者は、買ったその場で、ビニール袋からビンロウを取り出し、口に入れて噛みだした。

    

 歩きだした購買者の男の後をつけてみた。 まるでストーカである。 ときおり、ツバをペッと道に吐くが、ビンロウそのものは、相変わらず口に含んで齧っている。 その仕草は、まるでガムを齧っているような光景だ。 

   

 早速、私は、そのビンロウを買ってみた。 ビニール袋から1個取り出し、齧ってみた。 初めて食べたものだから、マズくも旨くもない。 口の中が少しざらつくのは、白い練りモノのせいなのは、容易に想像がつく。 

 

 あとでわかったことだが、白っぽいものは石灰であり、それを水で練ったものだった。 ペッて唾を吐くのは、その石灰を吐き出しているようである。 実は、ネットの記事を読んでから知ったのだが、汁を飲むと、胃を痛めるので、それで、ときおり唾を吐くのだ。

    

 口の中に入れたモノは、胃に入れてしまう習性の私は、それを飲み込んだ。

    

 帰宅してから、口のウガイをしようと、洗面台で口を開けてカガミをみたら、なんと、口の中が、濃い柿色になっていた。 

    

 歯ブラシで口の中をブラシングしたが、舌に染まった色は、なかなか落ちなかった。 1個しか食しなかったこともあり、翌日には、その柿色は落ちたが ••••••。

    

 当時のケイタイはガラケーだったのて、PC で、檳榔を検索してみた。 そうしたら、記事にはハイになる成分を含んでいることが書かれていた。 その成分の効き目は弱いらしく、麻薬類には指定されてはいないが ••••••。

    

 食したのは1個だけだったからか、胃を痛めることはなかった。 実際は痛めていたのかもしれないが、自覚症状はなかった。 また、ハイにもならなかった。

    

 この、ビンロウを齧りながら、唾をペッと吐くのは、建設現場では禁止している。

 コンクリートに、吐いた唾の濃い柿色が染まるのだ。 しかし、建設現場は公共の場でなく私的な場所であるから、禁止してはいても、あくまで私的な禁止になるため、守られることはない。

    

 ただし、都市部では、ビンロウを齧った唾を吐くのは違法で、見つかった場合は罰金を科せれる。

    

 ビンロウを常時噛む者の口は濃い柿色になり、汚らしく見える。 ただし、口に染まった柿色は、ブラシングすると割と落ちやすいようだ。

    

 また、私の観察範囲ではあるが、女性が、日常的にビンロウを齧っているのは見たことがない。 唇が濃い柿色に染まるのは汚らしく見えるので、ロマンチックなキスシーンには不向きだ。

     

 タイでは、ビンロウを齧っている者を見かけるのは、田舎に行っても、めったにない。

  

 台湾では、汗水垂らして働く男性労働者が齧っている者が大多数だが、まれに、ネクタイをしている者が齧っていることもある。 何であんなにビンロウが嗜好されているのか、今でも不思議に思うことである。

    

 台湾で、このビンロウを売っている者のなかには、ビンロウ・ガールと呼ばれる妙齢の女性たちがいる。

 都市部ではほとんど見かけないが、水着姿でビンロウを売っているのだ。 もしかすると、規制されているかもしれない。

 郊外の道路に、一坪ぐらいのハコに入って売っているケースが多い。 ビンロウ・ガールが美人だと、わざわざ反対車線に車をまわし、ビンロウを買う男もいる。 

   


(筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


 

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