オンコの実 |高橋正朝 #116
鹿島東小学校の生徒だったとき、野山を歩いて偶然見つけた草木の実を何種類か食べたことがある。
そのなかに、オンコの実があった。
オンコの実を見つけたのは、秋も深まり、今頃の時季だった。
私は、オンコの実のことは知らなかったが、3〜4人の遊び仲間の1人が教えてくれた。 誰だったか、名前も顔も思い出せない。
たまたま見つけたオンコの実は、木にたくさんできていたというほどではなかったから、実は食べたが、他の遊び仲間もいるので、1人が食べたのは10粒ぐらいである。 また、オンコの実を見つけるのはまれで、小学生時代だけになるが、せいぜい5〜6回ぐらいだった。
子ども時代の我々は、オンコの実というものを、コクワほど知らなかった。
この稿を書くにあたり、ネットでチェックしてみたら、オンコというのはアイヌ語だと思っていたが、実はそうではなく、語源は不明らしい。 更に驚いたことがある。 オンコの実のタネは毒性があり、熟した実だけ食べるなら問題はないようだが、タネを齧って食べた場合、運が悪ければ、5〜6粒で、三途の川を渡ってしまうようだ。
オンコの実を見たり触ったり、または食べたりした人はご存じだが、ルビー色で小さくて丸くて柔らかい。
それで、オンコの実を口中の舌で押しつぶし、汁を味わい、実とタネを同時に飲み込んだ。
タネがある程度大きければ齧ったであろうが、スイカやリンゴのタネよりもはるかに小さいから、齧らずに飲み込んだ。 私だけでなく、他の遊び仲間も同様だったように思う。
しかし、たとえ、齧らずとも、タネを飲み込むだけでも危ないようだ。 知らなかったこととはいえ、危険なモノを食べてたんだなァ ••••••。
(2022年10月29日 記)
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。
オンコの実は、富士見町では住宅の生垣でよく見ていた。
遊びの時も、学校からの登下校の際に道端のすぐ脇にあった。
だから、簡単に手が届いた。
口にしたことも何度もある。
赤い実がやわらかく甘みはあったが、興味本位でそれ以上積極的に食べようということもなかった。
しばらく忘れていたオンコの実、高橋さんの文章を読んで思い出し、写真を付けて掲載しました。