だっこちゃん
2023-01-25
18101
昭和36頃、全国的にだっこちゃん(ダッコちゃん)ブームがあった。
『だっこちゃん』は、1960年(昭和35年)に発売された、空気で膨らませるビニール製の人形だった。
色は黒く、身体を傾けると片目でウィンクをする20cmくらいのかわいらしい人形だった。
協和会館での映画上映前の映画ニュースでも、若い女性が「だっこちゃん」を腕に巻き付け、東京のマチを闊歩する姿を写し出し、その熱狂ぶりが放映されていたことだろう。
そして当時、大夕張でもだっこちゃんが、流行っていた・・・かどうかはわからないが、少なくとも人々の話題にはなっていたようだ。
全国的なブームの中、大夕張の商店街では、なかなか入手できないというようなことを聞いたことはあった。
小学校に入るか入らないかの頃の少年にとっては、あまり関心はなかったように思うが、ひょっとしたらおねだりをしたのかもしれない。
そのブームの中で、東京に住んでいた父方の祖母が、送ってくれた。池袋のデパートで買ったという。
祖母にとって、父は六人息子の末っ子で、兄弟達の中で一人だけ、北海道に行った息子だった。その息子にできた孫のためにと、送ってくれたものだったのだろう。
当時の北海道は遠く、船と列車を乗り継ぎ簡単に往来できるものでもなかった。
祖母は、父と母が結婚した頃、生涯で一度大夕張を訪問したきりだった。
数少ない思い出の一つにつながる祖母からの人形でもある。
当時流行ったというダッコちゃん。
同年代の妻に聞くと、幼少期、家にあったという。
当時小樽に住んでいたが、手に入らず、富山の親戚から送ってもらったという。
入手困難だったというのは、どこでもそうだったらしい。