だっこちゃん

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 昭和36頃、全国的にだっこちゃん(ダッコちゃん)ブームがあった。

 

『だっこちゃん』は、1960年(昭和35年)に発売された、空気で膨らませるビニール製の人形だった。

 色は黒く、身体を傾けると片目でウィンクをする20cmくらいのかわいらしい人形だった。

 

 協和会館での映画上映前の映画ニュースでも、若い女性が「だっこちゃん」を腕に巻き付け、東京のマチを闊歩する姿を写し出し、その熱狂ぶりが放映されていたことだろう。

  

 そして当時、大夕張でもだっこちゃんが、流行っていた・・・かどうかはわからないが、少なくとも人々の話題にはなっていたようだ。

 

 全国的なブームの中、大夕張の商店街では、なかなか入手できないというようなことを聞いたことはあった。

  

 小学校に入るか入らないかの頃の少年にとっては、あまり関心はなかったように思うが、ひょっとしたらおねだりをしたのかもしれない。

 

 そのブームの中で、東京に住んでいた父方の祖母が、送ってくれた。池袋のデパートで買ったという。

 

 祖母にとって、父は六人息子の末っ子で、兄弟達の中で一人だけ、北海道に行った息子だった。その息子にできた孫のためにと、送ってくれたものだったのだろう。

 

 当時の北海道は遠く、船と列車を乗り継ぎ簡単に往来できるものでもなかった。

 

 祖母は、父と母が結婚した頃、生涯で一度大夕張を訪問したきりだった。

 

 数少ない思い出の一つにつながる祖母からの人形でもある。

 

だっこちゃん

  

 

 

 

 

 

 

 

 

1件のコメント

  • 当時流行ったというダッコちゃん。
    同年代の妻に聞くと、幼少期、家にあったという。
    当時小樽に住んでいたが、手に入らず、富山の親戚から送ってもらったという。
    入手困難だったというのは、どこでもそうだったらしい。

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