夢まくら、幽体離脱 | 高橋正朝 #138

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 私の母親は、下に3人の妹がおり、その下に弟がいた。

 私には叔父になる。 叔父とはいっても私とは同い年であった。 ただし、彼は早生まれで私は遅生まれだから、学年は1年違った。

    

 母親の父母、すなわち私の祖父母と末子である叔父が、明石町番外地の家で同居することになった。 私が鹿島東小学校5年生のときである。 そうなった経緯は知らない。

    

 その叔父が心臓を患い、1年半ぐらい後に、三菱炭鉱の病院に入院した。

    

 その年の冬を越し、春先に、病院で亡くなった。

    

 その叔父が亡くなった日時には覚えはないが、夜半に、その叔父が丹前を着て床に座り、寒いので、上布団を肩から背中にかけている姿を見た。

 我が家の2階である。 私の横に、多分、妹か弟がいるのだが、顔はハッキリしない。

    

 これは夢である。

    

 寝ていたが、小便を催したがため、眠りが浅くなり、それで見た夢のようだった。

    

 階段は玄関にあり、下に降りていったら、居間で、母親と、隣家の板倉さんちのオバさんの話し声が聞こえた。 

   

 玄関と居間の仕切りは、半分上は曇りガラスの引き戸だった。

  

 その引き戸を開け、今しがた見た夢の話しをした。

    

 人間が死ぬときに、タマシイが、飛んでいって誰かに知らせたり、虫の知らせなどという話を、マンガなんかや三文小説で読んだりするが、私は信じていない。

 叔父が亡くなったときに見た夢は、偶然だったと思っている。

    

 少年時代、私が立っていて、私の身体を見下ろしている夢を2〜3回見たことがあった。

    

 当時、幽体離脱という言葉はなかったように思う。

    

 東京にいたとき、20代の半ばであるが、ヒョイッと気づいたら、私が立っていて、ベッドに寝ている私を見下ろしているのだ。

 

 『 これはイカン。このままだとオレは死んでしまう 』

 

と思い、立っている私が、寝ている私の身体に向かって強引に倒れ込んだときに、ハッとなって目が覚めた。

    

 この同じ現象は、1〜2年の間に2回あった。 当然のことながら、私は夢だったと思っている。

    

 その頃、幽体離脱の言葉や、心霊スポットのことなど、テレビ番組やマンガによくでていたころだ。

 今から40年ぐらい前だから、私と同年代の人たちはご存じだと思う。

    

 私は、これらを信じていないが、これらの類を信じる人がいることもたしかだ ••••••。

    

 この稿を書くつもりになったのは、私が住んでいるアパートの1階の外で、私を含んだ3人のジイさんが、コーヒーを飲みながら四方山話をしているとき、50 mぐらい離れているアパートに最近住み始めた中国人女性がそこに加わり、ある話を始めたからだ。

    

 この中国人女性は50歳代で、英語を話す。

 日本語の難しい表現はムリだが、まァ、だいたい通じる。

    

 この女性が、〘 気 〙や〘 気功 〙のことを言い出した。 中国人女性が、両掌を10 cm ぐらい離して掌を湾曲して相対させ、

『 こうすると両掌の間が熱くなってくるでしょう 』

『 ウン、何となく熱くなってきた 』

と、元高校教師のジイさん。

 

 

『 こうやって気を中国の故郷に送るの 』 

   

もう1人のジイさんは半信半疑で黙っていた。

 私は、『 ヘッ 』と鼻先で笑ってしまった。

 したがって、不遜な私の態度に義憤し、誰かが私に〘 気 〙を送ってどうにかしてしまうかもしれない、な〜んちゃってネ ••••••。

    

 この〘 気 〙や〘 気功 〙は、この稿の標題とは無関係だが、共通しているのは、何やら怪しげなところ。

 でも、信じ込んでいる人は、『 怪しくない。マコトな事実だ。バチ当たりめ 』と私を罵るだろうネ ••••••。

 

 

(2023年4月1日 記)


 (筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


 

   

3件のコメント

  • 面白い。私と娘は空飛ぶ事が出来る。娘の方がかなり自由に飛べる様だが。しかし私は夢の中でこれは夢だと感じたら目覚める事が出来たし、食べ損ねた物も自慢げに食べることが出来た。
    幽体離脱、多分麻酔の関係と思われるが似たような経験をした。自分を上から見下ろしている、早く下の身体に戻らないと不味い。夢ならば覚める事ができるのにどうやっても・・・、これは死後の世界か?白いカーテンを何度も通り抜けると、そこには妻が椅子に座ってた。しかし何の反応もしない。顔さえも見ようとはしないのだ。
    自宅に帰る車の中で妻と娘には・・・・。

    • 似たような経験は、私にも稀に訪れます。
      2年ほど前のこと、夜半に目覚めたとき、見ると、隣に寝ているはずの妻が立ってカーテンをめくって外を見ていたのだった。
         
      「何やってるんだ?」
         
      と聞いても返事はない。
         
      よく見ると隣の布団に妻は眠っている。
         
      なのに、もう一人の妻が立って外を見ているのだ。
      姿は白い煙のよう。時々立ち位置を変える。
      表情は見えないが私の上に半分乗りかかって窓の外を見ている。重さは感じない。
        
      不思議に思いながら「これは幽体離脱かな?」などと考えている自分がいた。
         
      以前にもこんなことはあったし、母からも同じ体験を聞いたことがあった。
      でも今の私はこれを「脳みそのいたずら」と考えています。
        
      脳は不思議なコンピューターなので、ときには所有者に映像まで見せてくれるのです(^^)/

       

  • 子どもの頃、休み時間や空き時間に教室の机の周りに2、3人の仲間が集まると、頭を寄せ合い、ひそひそ声で、『怖い話』の話題になることがあった。
    その中に、『心霊写真』『夢まくら』『虫の知らせ』『予知夢』・・・などの話題がでて盛り上がった。
    漫画本や、子ども雑誌でも『世にも不思議なハナシ』というようなタイトルでよく特集もされていた。
    そこで得た話を、お互いに披露し合って、「ぞ~~」となった気分で解散となる。
    時には下校時にその話題が続くこともあった。多くの場合、そんな話題はその日が終わると忘れてしまう。
     
    ただ、『虫の知らせ』や『夢まくら』などの話は、現実の世界で大人達が話していることがあった。
    聞き耳を立てながら、本当にそんなことがあるんだろうかと疑いと、この世には説明の付かない不思議な出来事もあるのだろうという気持ちが入混じった。

    『夢まくら』というタイトルから、久しぶりにそんなことを思い出した。
    自分の体験として話せるような『世にも不思議なハナシ』は持っていない。残念ながら?幸いなことに?『霊的な感性』はないようだ。

    今も『怖いもの』は苦手だが、幽霊でもいいから会いたいと思うことはある。

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