溜め池の土砂堆積地にあった小鳥の巣 | 高橋正朝 #149

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例のごとく、飯田さんが編集した写真をコピペ。

 この写真の場所は、明石町駅の山側にあり、11時の位置にある小屋は、大夕張鉄道の保線小屋で、壁で仕切られた別な部屋には、ポイント切り替え装置があった。 明石町に住んでいた当時の子どもたちの大多数は知っていたと思う。 

   

 他の町に住んでいた少年少女たちは、明石町で遊ぶ機会はなかったろうから、保線小屋の存在は知らなかったと思う。 保線小屋には気づかなくても、しかし、汽車に乗り、明石町駅のホームに立って山側を見たら、溜め池に気づいた子どもはいるだろう。

    

 私が、鹿島東小学校4年生の6月ごろ、たまたまこの写真のあたりを、無目的に徘徊した。 

   

 この写真撮影の年月日が、左下に手書きされているが、この当時の溜め池は、まだ、水が多かったようだ。

 水は、3時の方向から流入していた。 小学生になり、この辺りをウロチョロするようになってから気づいたのだが、溜め池には土管から土砂が流れ込み、溜め池の土手からその流入口まで土を踏んで行けるようになった。 

   

 ヒマな少年は、その流入口まで行き、15cm ぐらいの径の土管の中を覗きこんだりした。 

   

 水辺には、水草がたゆたっていたが、流れ込んだ土砂は水分が多くて柔らかいが、表面が比較的乾いた場所には、1m ぐらいの高さの草が生えていた。

    

 その草群れを見ていたら、下部に、丸い、小鳥の巣のようなものがあった。

    

 見た目としては、小鳥の巣である。 しかし、これは、ホンモノの小鳥の巣だろうか?という疑問が生じた。 というのは、じつに丈夫に頑丈にできていたからである。 丸みの造形も見事だ。

    

 大夕張の商店街で、小鳥を売っていた店の鳥カゴの中にあった巣と同様、デキがいいのだ。 鳥カゴの中にある巣は、小鳥が作ったものではなく、人が拵えたものだという先入観があった。 小鳥が、上手に丸く巣を作れるわけがないという思い込みがあった。

    

 そういうわけだから、溜め池の土砂に生えていた草群れの中の巣は、誰かが、小鳥を呼び寄せるために置いたモノだと思った。

 

 1週間ほど、その場所に行って眺めていたのだが、なんの変化もなかった。 相変わらず、枯れ草でできた丸い巣がそこにあり、小鳥はおろかヒナも見えない。 もちろん、卵のカケラもない。

    

 気にはなっていたが、そのうち、その巣のことは忘れた。

 夏休みの終わりごろ、その巣のことを思い出し、溜め池に行ったが、その巣は影も形もなかった。 

   

 ネットで、ユーチューブの無料映画を見ようとすると、たま〜に動物の記録動画がでてくる。 小鳥の営巣を辛抱強く撮った動画もある。 岩場や地面に、直に卵を産む荒っぽい巣がある。 反面、実に几帳面に丸く作った巣もあった。

    

 この几帳面な巣作りの動画を見ると、私が子ども時代、明石町駅のホームから山側に見える溜め池で見た巣は、人手によるものではなく、ホンモノの小鳥の巣だったようだ。

    

 その巣で、卵やヒナ、もしくは親鳥を見なかったのは、2通り考えられる。

    

① ヒナが成長して巣離れした。   

② ヘビもしくは他の鳥に食われた。 

   

 動物の動画には、弱肉強食の映像もある。 親鳥が、ヒナにエサを与える子育て動画も、わりとある。 反面、親鳥がヒナを間引いて巣から排除する動画もある。 残酷ではあるが、卵やヒナがヘビに捕食される動画もある。 ちょっと驚いたのは、巣の中のヒナを、他の鳥が飛来して飲み込む動画であった。

  

 ユーチューブで、親鳥がヒナにエサを与える場面を見て、ヒナがエサを食べるのは、丸呑みだということを初めて知った。 

   

 もちろん、親鳥も、むしり取った肉片は丸呑みである。 自分の口にさえ入れば、時間がかかるにしても、なんとか飲み込む。 自分の首より太い小魚や他の小鳥なども、時間をかけて飲み込んでいる。

  

 その様を見ていると、ヘビがエモノを飲み込む状況と同じだ。 親鳥が大きなエモノ、それはたいてい魚であったり、他の鳥であったりするが、巣でバリバリとクチバシでむしり取り、それをヒナに与えたり、自分が嚥下している。

    

 鳥にとって、ヘビは大敵だが、大きな鳥にとっては旨いエモノのようだ。 就中、猛禽類とヘビの弱肉強食の闘いはすごい。 こういう動物の弱肉強食の闘いの場面を、私は残酷とは思っていない。 最も残酷なのは人間であることは、論を俟たない。

 

(2023年6月17日 記)

 

   


  

(筆者略歴)   

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。

メール宛先:tkhsmstm@hotmail.co.jp


 

  

1件のコメント

  • 「これが鳥の巣だ」とはっきり目にしたものは、なかった。
     
     今思い返すと、富士見町の詰所の屋根の庇と壁の間にあった藁の塊のようなもの、野原に落ちていた周囲と違う藁のぼそぼその塊の記憶。
     遊んでときに見つけ、仲間との話の中で
    「それは鳥の巣に違いない」となっただけで、実際に鳥を見たわけでもなく、巣だったという確証はない。
     
     ツバメが飛んで来て、藁の巣で待つヒナたちに餌をやる様子は、いつも絵本の中でしかなかった。
     
     時は経ち、職場の庭の背が高い木の上にカラスが巣を作った。
     駆除の為にやってきた業者さんが、採ってくれたカラスの巣は、洗濯物の針金のハンガーでつくりあげたそれは見事な作品だった。
     
     それが、大人になってマジマジとみた初めての鳥の巣だった。

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