蒲の穂 | 高橋正朝 #150

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 〘 蒲の穂 〙を知ったのは、鹿島東小学校の3年生のときである。

  今となっては名前も顔も思い出せないが、明石町の炭住街の同学年の男児3人か4人が、開拓か桜ヶ丘のほうまで行き、帰り道、〘 蒲の穂 〙を持った彼らが、番外地の我が家の前を通った。

    

 当時、明石町駅と番外地の間にあった小さな沢はすでに埋め立てられ、開拓に行くのが便利になっていた。 しかし、白銀橋や南部までの道はまだ完成してなかった。

    

 開拓に行くには、シューパロ川に架かっていた揺れる吊り橋を渡らなければならなかった。

 明石町側の坂道を下り、吊り橋を渡り、そして坂道を上って小林さんチの畑のそばの道にたどりついた。

 

 この坂道は、常盤町から明石町、常盤町から千年町に行く坂道ぐらいの勾配があった。 だから、雨の日に、開拓から小学校や中学校に通うのは大変だったのは、容易に想像がつく。 

   

 我が家の前を通った彼らが、どの辺りで〘 蒲の穂 〙を見つけたのかは訊かなかった。 子どもたちのグループの秘密だ。

    

 〘 蒲の穂 〙ができる1〜2m の草は、水溜まりのあるところでたま〜に見るのだが、しかし、〘 蒲の穂 〙そのものは見つけることはなかった。

    

 

 鹿島東小学校の4年生の夏休みに、偶然、〘 蒲の穂 〙を見つけた。

 場所は、前回の投稿の、飯田さん編集の写真の溜め池に生っていた。 写真の右下の枠の外なので、その写真には写ってない。

     

 急いで、番外地の我が家に戻って包丁を手にし、溜め池に走った。 ナイフなんて持ってなく、しかも、偶然見つけた〘 蒲の穂 〙であるから大変嬉しかった。

    

 1度〘 蒲の穂 〙を見つけると、不思議なもので、また〘 蒲の穂 〙が見つかった。

 その場所は、やはり明石町駅のそばの小さな池である。 ただし、これは人工的な溜め池ではなく、窪地にできた水溜まりである。 明石町の購買会の横を通り、大夕張鉄道の踏切を渡った左側にあった。 右側に行くと、後の東高への通学路だ。

    

 そして、3度目の正直があった。

 桜ヶ丘へ行ったとき、やはり、水溜まりに生えている〘 蒲の穂 〙を見つけた。

 結構な本数が生っていた。 このときは、私を含めて4〜5人だった。 柿崎実( マコト )さんがリーダーで、彼だけが〘 肥後守 〙を持っていた。 他は誰も刃物は持っていない。

 我々はワッとばかりに水溜まりに入り、クツとズボンを濡らしながら、〘 蒲の穂 〙が生っている茎に噛みついた。

    

〘 蒲の穂 〙の茎は、皆さんご存知のとおり、かなり固い。

 噛みついたからといって、簡単に噛み切れるものじゃない。 それでも、各自、それぞれ2〜3本ぐらい手に入れた。

    

 柿崎実( マコト )さんは、〘 肥後守 〙があったから、5〜6本ぐらい切りとった。 でも、そのぐらいの収穫にとどまったのは、茎が固く、〘 肥後守 〙でスパッとは切れなかったからだ。

    

 これは、大夕張の少年は同じ行動をしたと思うのだが、〘 蒲の穂 〙にロウソクを垂らし、タイマツにして遊んだ。 タイマツ遊びをしたのは男の子で、女の子がタイマツ遊びをしたのは、私は見たことはない。

    

 柿崎実( マコト )さんは、〘 蒲の穂 〙にゴムノリを塗り、それに火をつけ、我々を驚かした。

    

 この〘 蒲の穂 〙に火をつけたタイマツ遊びは、七夕やお盆の時期だった。

 

 大夕張のような地域だったから、あんな火遊びができたのだ。 

 

(2023年6月24日 記)


  

(筆者略歴)   

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。

メール宛先:tkhsmstm@hotmail.co.jp


 

   

1件のコメント

  • 蒲の穂は、「ソーセージ」にその形が似ていることから名前をすぐに覚えた植物のひとつだった。
    富士見町6丁目の山の方に住んでいた時も、山から湧き出す小さな沢の周辺に咲いていた。
    季節も今ごろから夏にかけてのことだろうか。
     

    富士見町6丁目から


     
    子どもの目線の先の見上げる高さに、生えている蒲の穂を茎からきった記憶はない。
    それでも自然と倒れた(倒された)蒲の穂で遊んできた覚えはある。
      
    何か仕掛けをすると東京オリンピックで聖火ランナーが掲げたトーチのように燃えると聞いたことはあった。
    それを聞いた時、自分もやってみたいとチラッと思ったが、「何をどうすれば」そうなるのかは、はっきりとしなかったのでやってみたことはなかった。
      
    それから60年余、そうだったのかと答えをみつけた。
     

     

     

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