UFO(?)の想い出 |市橋 勝

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 私が小学3年生頃のことです。
 あれは確か土曜日の午後のことだったと記憶しているのですが、穏やかな天気のいい日でした。

 私は、下校して直ぐに宝町にいた大西君という同級生の家に遊びに向かっていました。

 宝町には弥生町や春日町のほうが眺望できる崖がある所があったのですが、下校途中の中学生や長屋の人達が何やらそこで騒いでいたのです。

 私も近づいてみると、その人だかりは

「UFOが見える!」

などと言って空のほうを見上げているではありませんか。

 
 そこで、私も空を見上げてみると、確かに山のかなり上空に銀色にきらきら光る物
体のようなものが飛んでいたのです。仰天しました。

 
 その銀色の物体は、風に煽られた銀色のトタンが舞っているとも見えなくはないの
ですが、どうも飛び方がおかしいのです。空の上をゆっくりとキラキラ光りながら
旋回しているようにしか思えない。

 
「あれは鉄板だよ」

「いや、あれは絶対UFOだ!」

 
などと言い合っていると、そのうち一緒に見ていたU首の下着姿の長屋のオジサンが、

「よし!双眼鏡を持ってきて見てやる。」

と言い出しました。

 
 そりゃ良い考えだ、とばかりに、周りにいた中学生達も騒然となり

「オジサン、僕たちに見せて。」

という具合です。

 
 間もなく、首から双眼鏡をつるしてオジサンが戻ってくると、もう皆は上空とその
オジサンを交互に見返しました。

 
(でも、なんであのオジサンは双眼鏡を持っていたのだろう?ま、どうでもいいこ
とですが(笑)。当時、双眼鏡を持っている人なんてそんなに多くはなかったと思
います。私はあの時生まれて初めて双眼鏡なるものを見たと思います。)

 
「どう?オジサン」「あれは何?」

 
と次々尋ねる中学生達に、オジサンは

 
「ウーン・・・・ちょっと待てよ・・・・あれ?どこ行ったかな?」

 
などと、ハッキリしない返答。

 
 もう、周りで見ている私達も気が気じゃありません。

 
 いつの間にか、順番に双眼鏡を覗かせてもらおうと、そこにいた中学生達は列を作
って並んでいました。

 
 私も、どうしてもその双眼鏡を覗いてみたかったので、中学生の後ろに並びまし
た。

 
 ところが、オジサンが双眼鏡で探している間に、その銀色の光る物体はなんと雲の
中に隠れてしまったのです。

 あの旋回のリズムからすれば、しばらくしてまた雲から出てくるだろうと、皆その雲をじっと見上げていたのですが、結局その後は出て来ませんでした。

 

 あれは一体何だったのでしょう。

 
 夜の飛行物体ならば、流れ星だとか、人工衛星だとか、飛行機だとかいろいろと見誤ることもあるでしょうが、後にも先にも、昼間にUFOらしきものを見たのはあれだけだったので、今でも不思議に思ってます。

 
 あれは不安定な大気による発光現象だったのかな。

 
 確かに大夕張も天気の変わりやすい土地柄ではありましたが・・・・ね(笑)。

 

(2001年5月30日 記)



思い出ばなし

1件のコメント

  • UFO
    未確認飛行物体・・・
    今でも時折TVなどで見たり聞いたりするこの話題も、当時、UFO研究家などが登場し、ブームとなった。
    当時、「俺は見た!あれは絶対UFOだ」という話を聞きながら、半信半疑ながら自分が見たのもひょっとしたらUFOだったかもしれない・・・、などと囁きあう子、日常の話によく登場した。
     
    自分は、今でも『自分は「UFOを見た」と思った記憶』がある。

    白日夢を見ていたのか、未知との出会いへの渇望か・・・。
     

    市橋さんの投稿に、ひっそりと、大夕張の子どもの『UFO』の話題の思い出を偲ばせておきたかった・・・。

     

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