大夕張山歩記 全

22207

 

出典は昭和53年刊『鹿島のあゆみ』から、鹿島小学校教諭米沢作朗先生の『大夕張山歩記』を、以前、自分のコメントとともに、月ごとに分けて掲載した。

今回、それを自分の文章を省いて、一つにまとめた。

  

以前の月ごとに掲載された文章をご覧になりたい方は、下の『大夕張山菜記』のタグからどうぞ。

 

 

 


大夕張山歩記 

  米澤作朗

春 3月の末、スキーシーズンもそろそろ終わりに近づく頃、日当たりの良い斜面から土が顔を出す。

 

 半年もの間、深い雪の下でじっと耐えていた山菜の生へのいぶきだ。

 この頃から山菜採りや釣りの話が仲間からささやきはじめる。

 雪の多い時はシイタケが早い。

 アメマスも大漁とか。

 大夕張は山菜の宝庫で、4月から食卓をにぎわす。

 

山菜採り

 4月

 根わさび堀り

 ふきのとうがでさかり、根わさびの葉が土から顔を出すころ掘り始める。

 鼻にきくピリッとした味は食欲をそそる。

 わさび漬けにする人もいる。

 

 やちぶき

 末になると湿地帯にはえる。

 4cm~5cmくらいが、おいしい。苦み走った味である。

 花が咲く頃は、茎だけをおしたしにする。

 7月の始めまで採れる。

 花は黄色で、えぞのりゅうきんかという。

 沢にもある。

 

5月

コゴミ・アイヌネギ

メーデーがおわる頃、残雪の斜面や湿地にコゴミがのびる。

ひらかないものがよい。

アイヌネギ(アイヌニラともいう)も日当たりのよい斜面に顔をだす。

においが強くすぐわかる。

春シイタケ

虫がつきやすいので、保存よりバター焼きなど、運動会のごちそうとなる。

ナラの木につく。

 

ウドウ

ウドウ(ウドともいう)も6月中旬まで斜面や沢のがけに顔を出す。

葉が開かないうちにとる。

山の肉ともいわれるほどで、アクが強いが、酒の肴にはかかせない。

 

6月

ゼンマイ

初旬、やちゼンマイが官行 ?km の沢で採れる。

ゆで干すと越冬用の食用となる。

湿地にもある。

本ゼンマイ(内地ゼンマイともいう)は量が少なくないが、明石町や開拓にみられる。

 

たけのこ

広島や由仁ものより細めだが、味はよい。

竹やぶに入らなければならないが、知る人ぞ知る貴重品。

ゆでてその汁で塩蔵するとながもちする。

 

かごたけ

たけのこの時期に笹やぶやマツの木の下でかごたけ(あみだけ)も採れる。

味噌にすると美味しい。

 

ふき

初旬よりふきとりがはじまる。

採る期間が長く7月末まで2番ぶきがよい。

切ったら水がサーッとでるふきがよい。

大夕張の沢という沢がふきだが、やっぱり密生している場所でわきぶきがよい。

ゆでて塩蔵する。

 

わらび

多少はとれるが、竹やぶの中や笹やぶで苦労する。

回数を重ねると結構つけることができる。

このころ春ボリボリも口にできる回数が少ない。

7月

 

タモギ

中旬から8月にかけ、夏のキノコ採りは、タモの木につくタモギ採りである。

味噌汁にして美味。

 

8月

ボリボリ

8月中旬~下旬ころ、ボリボリの一番こが出る年は不作と考えてよい。

これは一週間ほどで終わることが多い。

 

9月

きのことり

この時期こそ、きのこ採りで林道が駐車場と化す。

まず、シメジ類が毎年定位置にでそろい、そしてコガネタケが山道ぶちで見られる。

ナラタケ(ボリボリ)は、伐採後の木枝や下草かりあとの草わら、竹笹やぶなどからとれる。

エゾナラタケは主として松、ガンビ、ナラなどの木株やその周辺に密生する。

ラクヨウは、若い唐松林に出る。

落葉松からでるので、この名があるが、別名マツボリボリとか、アワダケともいう。

 

 

シイタケ、マイダケはキノコの王様でナラの木にでる。

今では尾根まで登らなければならない。

シイタケは木を傷めないようにすると、毎年同じところにでるが、マイタケは一年おきとか二年おきである。

 

黒マイダケと、白マイダケがあり、山のベテランでなければ無理である。

ほかに、ハツタケカノコダケムキタケもある。

 

10月

シメジ

雑木林や道ばたから黒シメジ、白シメジ、むらさきシメジをとることができる。

木の実

広葉樹の葉が色づき、あるいは散るころ山ブドウや、コクワマタタビをとることができる。

最近、果実酒として利用される。

下旬、霜が降りてから味は格別。

 

落葉してからがよい。

花期の気候により、豊作不作がある。

  

11月

ユキノシタ

雪の降るころまで残っているキノコで、味噌汁や三杯酢に使われる。

ナラ、セン、カツラ、ガンビなどあらゆる木に自生する。

月夜ダケと間違わぬこと。

雪が降り積もってからでもとれる。

つける人もいる。 

 

 釣りについて

ワカサギ

雪がさらっと降りつもるころ、沢の落ち口で夜釣りを楽しめる。

12月から3月まで、冬季間が主で6月の初めにつれたこともある。

氷割り穴釣りは、焼酎飲み飲みで、このてんぷらが最高。

寒さももののかわ、がんばる人が多い。

 

アメマス

4月、雪解けをまって始まる。

魚のアタリが弱い頃で深みにいる。

年々奥にいかないと数はとれない。

奥では、60㎝の主もおり、渓流釣りのだいご味を満喫できる。

 

その他の魚

ドジョウヤツメは夏の暑い頃、官行ダムで。

コイフナは6月~8月。

ウグイは、口細で炭山祭りに瀬づき始まる。

他に放流のサクラマス、スチールヘッド、チップなどはあまり釣れない。

 

 

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