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第1編 沿革 第7章 最近に於ける営業事項

第7章 最近に於ける営業事項

 1、 美鉄と連絡運輸併合

 従来大夕張鉄道と美唄鉄道は、国鉄との連絡運輸については恰も別会社の如く、ここに連絡番号を有し業務を取扱いたるも、

昭和31年6月1日よりこれを併合
三菱鉱業株式会社の美唄鉄道線又は大夕張鉄道線と称し、連絡運輸契約も当社取締役社長と国鉄営業局長との間に締結、連絡運輸事務は美唄鉄道を窓口として大夕張鉄道分を併せ取扱うことゝし、国鉄との駅共同使用契約、接続駅に於ける連絡設備、国鉄用地の借地契約等の連絡運輸以外の件に関しては従来同様美鉄、大夕張個々に行うことゝせり。

 2、 北菱香取坑

 昭和32年2月、北菱産業株式会社が香取坑を開坑、同月19日より送炭を開始。
3月に至り大夕張炭山駅構内終点付近に南部開発の積込ポケットを移築利用、


昭和37年2月21日積出を終了するまで5ヶ年間に亘り約6万5千屯の石炭を送炭、

昭和37年6月8日ポケットを撤去せり。

 3、 モーターカー

 昭和32年6月8日、モーターカー入線、保線作業に機動力を齎らせり。

 4、 客車形式ナハ3、4

 昭和31年11月28日、国鉄よりナル17.612同13の払下を受け泰和車両にて側廊付来客用コンパートを一端に持つ客車に改造、

昭和32年6月26日入線使用を開始せり。

 5、 客車形式ナハ5

 昭和33年5月、国鉄よりナル17.702の払下を受け泰和車両に於て車体を新製、
昭和34年3月入線使用を開始せり。

 6、 メタノール

 昭和33年、坑内ガスよりメタノール合成のため、大夕張炭山駅東方、夕張川岸にメタノール工場建設、昭和34年7月には工場試運転、12月に至り製造を開始、もどって8月29日より私有貨車タキ14両入線、翌35年1月27日よりメタノールの輸送を開始せり。

 7、 急行券の発売

 昭和36年1月14日より、国鉄札幌・夕張間にジーゼル準急行列車「夕張」を2往復運転開始せしが、当鉄道各駅からの連絡旅客に対しても2月1日より準急行券を発売開始せり。
 当鉄道発売駅 大夕張、千年町、明石町、南大夕張及び遠幌
 後、旅客の利便を図り、昭和37年5月1日より第1種普通急行券を、
更に9月1日より第2種普通急行券を大夕張駅より発売せり。

 8、 石炭運賃延納

 昭和36年4月6日鉄道貨物運賃15%値上となったが、石炭業界に及ぼす影響甚大であり、政府に対し石炭運賃の軽減を要請せる処、経済企画庁が中心となり運輸、通産の各省協議の結果、石炭運賃臨時特別措置として

昭和36年7月1日(連絡社線発となるものは昭和37年3月30日)より
石炭運賃の延納取扱が実施された。
   1、 昭和36年4月6日値上り運賃(15%)の2分の1に相当する
      6. 5%とする(社線運賃を除く)。
   2、 取扱期間は昭和38年度分(昭和39年3月31日)までとする。
   3、該当石炭業者(当所関係分)
     イ、 三菱鉱業株式会社札幌支店長 落合一男
       芦別、上芦別、茶志内、常盤台、盤ノ沢及び大夕張炭山の
       6駅を発駅とす。
     ロ、 北菱産業株式会社代表取締役 田中剛一
       平岸、美唄炭山、遠幌、頼城及び緑泉の5駅を発駅とする。
     ハ、 夕張炭砿株式会社取締役社長 上野 清
       遠幌駅を発駅とする。
   4、 国鉄に提出する担保
     イ、 大手17社については17社が連帯保証人となる連帯保証書 
     ロ、 中小炭砿業者の中、大手系列に入る者については、大手   
       17が連帯保証人となる連帯保証書
     ハ、 他の中小炭砿業者は、国鉄の認める有価証券、銀行の保証書又
       は個人保証書等
   5、 延納額の返納
      昭和36年度中に延納の取扱を実施せし者は36年度分は43年度中に
      37年度分は44年度中に、38年度分は44年度中に、夫々12ヶ月の
      均等月賦とし、毎月末迄に所属国鉄鉄道管理局会計課に返済する。
   6、 延納額は政府の指示により利息を付けない。
   7、 当鉄道関係延納額実績次の通り。

     イ、発生年度別延納額(円)

備考  昭和36年度分については昭和37年3月30日、31日の 2日間のみである。
     延納取扱により各石炭業者の得る金利は日歩2銭として推算した。
(0. 02円×365日×7ヶ年)÷100円=0.511

     ロ、 支払年度別均等月賦額(円)

備考  札幌鉄道管理局会計長から毎月10日迄各石炭業者に支払請求書が発行され月末迄に支払う。

9、 石炭運賃通算制

 連絡運輸の目的は国鉄及び連絡社線か恰も一運輸機関の如き効果を発揮し旅客及び荷主の便益を図るにあるが、運賃制度については公共的には通算制が、企業的には併算制が唱えられ、各々利害得失があり、戦前戦後を通じ次の如き変遷を経てきた。
   昭和17年3月まで 併算制
   昭和17年4月より昭和23年7月まで 通算制
   昭和23年7月から 併算制復帰
   昭和25年1月から 特定社線につき通算制を採用
当社に於ても輸送費の軽減のため車扱貨物運賃を通算制とすべく
昭和31年2月10日国鉄に対し申請書を提出するも、国鉄経営不振の折柄認められず7ヶ年に亘りこれを推進の結果、昭和37年1月1日漸く石炭運賃についてのみ
次の通り実現せり。

◎ 昭和37年11月1日、日本国有鉄道公示第532号抜粋
石炭の連絡車扱貨物運賃・料金の特殊計算方について、当分の間次のように定める。


1、 適用範囲
次に掲げる社線各駅発車扱貨物に限る
  雄別炭砿尺別線、留萌鉄道線、天塩炭砿鉄道線
  羽幌炭砿鉄道線及び三菱鉱業株式会社線
2、 適用品目
  貨物等級表の品目番号0101及び0102に該当する石炭
3、 運賃料金の計算方
  連絡運輸規則第170条第2項の規定(通算制)による

◎ 昭和37年1月1日、鉄業第426号、37石局第956号抜粋
「当分の間次のように定める」ことについて運輸省と通商産業省は
下記の通り了解する。


   1、本措置は、石炭政策に基づく臨時的な措置であり、
    現時点において将来の確定期間を明示することが
    困難なため、実施期間を当分の間としたものである。
   2、将来、諸情勢の変化により、本措置を改廃しようと
    する場合には、運輸省は、事前に通商産業省に協議するものとする。

    なお昭和37年10月27日付夕鉄第182号をもって運輸大臣宛貨物
   運賃計算方変更認可申請書を提出、昭和37年10月31日付鉄監第1072
   号をもって認可を得、11月1日より実施せり。
    実施後に於ける実績別紙の通り。

社発連絡車扱石炭運賃通算制による利益の推定

昭和37年下期(37.11.1~38.3.31)

昭和38年上期

 10、 芦別と蒸気機関車交換

 昭和37年5月 芦別炭砿の山勢(昭和39年4月閉山豫定)に即応するため、三菱芦別専用鉄道の9600形式蒸気機関車2両の融通につき社内協議の結果、大夕張鉄道に於ける輸送力の増強を図る目的をもって9200形式蒸気機関車2両と交換のことゝし、昭和37年9月より翌昭和38年1月に亘り両機の交換を完了せり。


  昭和37年 9月26日 9237号芦別専用鉄道に譲渡
  昭和37年10月11日 9603号芦別専用鉄道より譲受
  昭和38年 1月23日 9201号芦別専用鉄道に譲渡
  昭和38年 1月30日 9613号芦別専用鉄道より譲受

 直ちに譲渡を受けし9603号を9606号と、9613号を9607号と番号を改む。

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