大夕張つれづれ■網戸の穴■|高橋正朝 #25
東京にでてきて住んだアパートや寮の窓には窓には網戸がなかった。
何回もアパートを移り、世田谷区の三軒茶屋に住んだときのアパートには網戸があって、蚊やハエなどが入ってこないので、これはなかなかいいものだと思いました。
私の子供のころの大夕張時代は、窓に網戸がついている家はなかったのではないかと思います。ですから、どの家の中でもハエがいるのが当たり前で、不衛生であることは知っていても、何の不思議さも感じていませんでした。大夕張でハエがいないのは、冬の時期だけでした。
建物関係の歴史を書いた本を読むと、アルミサッシが普及してから、網戸が付帯するのが一般的になったらしい。
リビアに行ったとき、私の赴任先は、海岸から約250Km奥地に入ったところでした。
6週間に1度、更に650Km南に、1週間ぐらい出張していましたが、その周りに新しい電話中継局が増え、2人で常駐することになりました。
2人で住むにはかなり広い1軒屋を借りました。
木枠ですが、窓には網戸もついています。
2~3週間してから、気が付きましたが、その網戸に小さな穴が開いています。
「 ネズミが齧って穴を開けたのかな、でも、網は細いとはいっても一応鉄線だし、穴もネズミの図体よりは小さい気がするし・・・・・・それとも、最初から穴が開いていたのかなぁ・・・・・・ 」と、 あまり気にしませんでした。
それから2~3日後、明け方、カリッカリッと音がしたので目を覚ましました。
ネズミの形をした黒い影が網戸にいて、その場所からカリッカリッという音がしたので、なんとなく夢を見ているようなボンヤリした感じで、
「 ああ、あの穴はやっぱりネズミが齧って穴を開けたんだなぁ 」と思った次の瞬間、ネズミがジャンプして私の顔にペチャッという感じで落ちてきました。
ワッと驚いてベッドから転げ落ちました。
私のベッドは、窓のある壁にくっつけて配置していたから、ネズミがジャンプした落下先が、私の顔面だったわけです。
ネズミを見ると、たとえそれが生きていようと死んでいようと、私はいつも条件反射的にペストを連想します。
1か月ぐらいは気にしていました。
齧歯類の動物は、金属製のメッシュぐらいは、簡単に齧ってしまうというのは、後で知ったことでした。
高橋 正朝 ( たかはし まさとも )2013/05/18 _ 10:39:13
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。