大夕張つれづれ■牽強付会■|高橋正朝 #59
私がアルジェリアのエチレンのプロジェクトに赴任したときは、すでに工事を終了して4年か5年目であったように思う。そこにはかなり大きな図書室があった。
私が赴任した時点で、八百数十人の日本人が常駐しており、数週間から1か月ぐらいの滞在者もいたから、それらを含めると千人ぐらいいた時期である。
だから、工事中から堆積された本は、鹿島中学校の図書室の数倍の本があった。赴任者が持参した個人の本は、帰るときはすべて置いていったモノが堆積したのである。
プロジェクト完成後の有料のメンテナンスでも、日本人が入れ替わるので、
宿舎の図書室に保管しきれない、相当な量の本が捨てられたそうだ。
それでも、私が在籍していた当時の、鹿島中学校の図書室の本の数倍はあった。その中で、NHKブックスという、NHK出版局が発行する本があった。
B6判の本だ。そのタイトルも内容も忘れてしまった。著者名も忘れてしまったが、その著者は、当時の現役の東大教授である。
この肩書きだけはしっかり覚えている。
デジタル技術について書かれてハウツーものの本だったような気がするが、カシオについて、文章そのものは覚えていないが、意味としては、こう書かれていた。
「時の刻みはデジタルである。したがって、デジタルを扱う電卓メーカーのカシオが、時計に進出したのは必然である」という意味の文章だ。
それじゃ、電卓でカシオとシェアトップの争いをしていたシャープはどうなのか?シャープの家電製品に、デジタル時計タイマーなどが、すでに組み込まれていた時代だが、シャープは時計メーカーとしては存在していない。
逆に、時計メーカーであるシチズン、セイコーの電卓への進出の理屈は?カメラメーカーの、キャノンのトラベル時計などは?
時の刻みはデジタルだ、という意味もわからない。
大型の時計は、一定したスピードで断続的に秒針が動く、ステップアップ方式が多数を占めるが、スィープ方式の秒針の時計もある。
牽強付会という言葉がピタリとあてはまるセンセイの発言である。
高橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2016/03/29 _ 11:45:49
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住