大夕張つれづれ■「わるども」と「いいども」■|高橋正朝 #72

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 私が大夕張の子供時代、「わるども」、「いいども」という言葉があった。東映のチャンバラ映画は、単純な勧善懲悪のストーリーだったから、それらの映画のことで話すときや、チャンバラごっこでよく使った言葉だ。私と同年輩や年上の人たちは覚えていることと思います。

 ウェブで検索してみると、「わるども」に関してはわりと出てくるのだが、 「いいども」に関してはほとんど出てこない。「わるども」は「悪漢」だから、その反語としては「好漢」としかでてこない。

「いいども」で、「いい者」の意味として使われたトピックスが1例あった。書き込んだ人はこの言葉は知らなかったようで、『「悪ども → 悪者」、「いいども → いい者」てか?』となっていたので、この言葉を発した人は意味を知っていても、同じ場所にいてそれを聴いた書き込み者は知らなかったようだ。

 ちなみに、このトピックスの例は、家族・親族の集まりの場での和やかな雰囲気での話である。

「いいども」は、ウェブの項目に現れたものを読んでみると、「いいけれど・・・・・・」とか、「OK」のような意味の東北弁からきているような気がするが・・・・・・。

「かっちゃく」のように、日本の一部でしか使われなかった言葉かもしれない・・・・・・。以前は使われていたかもしれないが、死語になっている方言かもしれない・・・・・・。

 私が鹿島東小学校5年生のときまで、映画や小説の題名になる主人公は、 「いいども」だけだと思った。

「怪人二十面相」や「ルパン」は、「怪盗」なので、本来なら悪漢なのだが、 人を殺さずに財宝を盗む、しかも、弱きを助け・・・・・・、という者だから、「いいども」ではないが「わるども」 とも思っていなかった。「鼠小僧」のような義賊で、その行動には痛快さを感じていたものだ。

 したがって、高島均さんの家で初めて見た「豹の眼」も、ストーリーを途中から見たせいもあるが、「豹の眼」を悪の組織だと思わなかった。「ジャガー」役をやっていたのは、天津敏である。

 三船浩が歌う主題歌は「 ♪ 撃つぞジャガー、 撃つぞジャガー ♪ 」と唄っているのだから、ジャガーは「わるども」と、すぐに気付いていいはずだが、何事にも鈍い私は、小説や映画の題名で人の名を冠する場合は、「いいども」であるという先入観があった。

 だから、同級生の内田幸夫さんに「ジャガーはわるども」と何回か言われたが得心しなかった。

 1年後ぐらいして、千歳町の劇場で、長谷川一夫 主演の「大江山酒呑童子」の映画のポスターが貼りだされたときに、「わるども」でも映画の題になることを初めて知った。

 鈍かったねぇ・・・・・・。


高橋 正朝 ( たかはし まさとも )2017/05/06 _ 00:46:30

昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住


大夕張つれづれ

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