大夕張つれづれ■発火■|高橋正朝 #80
2017年8月3日に、東京の築地場外市場のラーメン店から火事が発生し、店舗7棟計935㎡を焼いた記事が出ていた。
コンロの前の壁にステンレス板を張り付けていたようで、そのステンレス板に覆われていた壁が炭化し、それが燃えたのが原因のようである。
もう、50年ぐらい前であるが、 仕事で築地市場の場内に入ったことがある。市場の場内も場外市場も大変せせこましい場所だった記憶がある。今回の火災で、死傷者が出なかったのは不幸中の幸いだった。
炭化したものが、空気中の酸素を吸収して蓄熱し、条件が重なるとやがて発火に至る、というのは、大夕張に生まれ育った者には実感しているハズだ。鹿島小学校ではどうだったか知らないが、私が6年間いた鹿島東小学校の貯炭場で、 煙が発生したことが数回あった。
正確な回数は覚えがない。鹿島中学校に在学中にも2~3回あったような気がする。
九州のボタ山で発火したことが、ニュースになったりしたことがあった。清水沢のボタ山でも発火したことがあった。
私が鹿島にいたころの石炭の発火といっても、正確には着火前の発煙、というものだったようだ。10歳ぐらいになると、紙にレンズで集光して火を点けようとしたことが何回かあったが、煙は出るものの、紙が発火したことは一度もなかった。
焦点を当てた白い紙が焦げて茶色になって煙が出るのだが、いっこうに発火しない。そのうち飽きちゃって、そういう遊びはやめてしまった。
天カスや、油が染み込んだ布などから発火することもあるようだ。
珍しいものでは、今年の7月11日にあった出来事である。1か月前のニュースになったことなので、記憶している人もいると思うが、ウェブでも検索できる。北海道浦河町西幌別の谷川牧場で、堆肥が燃えた、という事件である。
堆肥は結構発熱し、冬でも水蒸気が立っているのは何度も見たことがあるが、まさか発火するとは思わなかった。子供の時分に堆肥から湯気が出るのを不思議に思い、その堆肥に手を突っ込んだことがあったが、手ではかなり暖かく感じられたので、少なくても体温ぐらいはあったように思う。
コンクリートが凝固する際にも発熱するが、手を突っ込んでみるとたしかに暖かい。けれど、堆肥に手を突っ込んだときの温度よりも低いので、30℃あったかどうか・・・・・・。
火災は、私の関心事の一つである。私の仕事での専門は電気工事であったが、数種類ある消防設備士の免状を、一応一揃い所持している。免許証を取得してから、最初の2年目以内に講習を受けなければならない。その後は5年ごとの義務講習である。
講習後に簡単な筆記試験があるのだが、簡単とはいっても、受講している内容を出すのだから、寝てはいられない。講師は、「ここが大事ですヨ」と言ってくれるのが大半だが、出題が素直な文章でないから、300人前後の受講者のうち、たいて1~2%ぐらいが赤点をとる。
その人たちはすぐに帰れず、残されるのであるが、再受講なのかどうかは知らない・・・・・・。
私が一時帰国する際は、その義務講習の予定日に合わせるのだが、自動車の運転免許証のように毎日実施しているわけでないから、落ちたら大変なので、一応、真剣に聴くことにしている。
その義務講習の際、試験には直接関係ないが、必ず火災の原因の説明がある。40年ぐらい前までの火災の原因は、タバコの不始末、熔接の火花、が首位をあらそっていたが、熔接火花の原因による火災は、防炎シートの使用が現場ではやかましくなり、極端に減った。
現在の火災原因トップは、放火である。
天カスや、石炭の発火は知っていたが、上記のように、堆肥の発火はまったく想像できなかった。たぶん、これからの消防の講習に、堆肥のことも出るかもしれない。
高橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2017/08/06 _ 13:57:13
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住