バス停

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1998年(平成10年) 美鉄バス 大夕張

 

 私は、恭子の手をぎゅっと握ると、深々と二人に頭を下げた。そして、涙が止め処もなく流れ出した。

 両親は静かにバスを降りた。

 傍らには三菱バス大夕張と書かれたバス停がしっかりと立っていた。

 やがてバスは、大夕張駅の前で旋回すると、静かに走り出した。

 二人は、あの懐かしい大夕張の街並みと一緒に、笑顔で私たちを見送ってくれた。

(夕輝文敏作『バス停』より)


  大夕張の街の終末期に、立っていた一本のバス停 それまで、どれだけの数の人々を送り、迎え続けたのだろう。

 忘れがたい出会いや別れ、いくつもの物語を紡ぎ出した場所であったことに間違いありません。

 

1件のコメント

  • 令和3年2月。個人の方に大切に保管されて、存在しているようです。

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