私の故郷遺産 | 松崎百合
2021-04-02
2021-04-05
16902
何もかもが、ダムの下。
地図から消えようとしている私の故郷大夕張。
でも、私には、大事な、大切な、心の中に大夕張遺産があります。
炭鉱が、閉鎖になる少し前に、私は内地へ転校しました。
大夕張駅。
蛍の光の曲に送られ・・・。
母は近所のおばさんたちと抱き合って、泣いていました。
私は、何時までも、友達と手を握り合い、離すことはできませんでした。
でも汽車は待ってくれません。
ベルの音と共に、少しずつ汽車は離れていきます。
仲間は、線路の上を走りながら、汽車を追いかけてきました。
元気で・・・さよなら、こんな辛い、悲しい、別れ。父を憎みました。
でも私は忘れません。
友の涙・・・おばさん達の涙、
私の心の大切な遺産です。
松崎百合 旧姓 佐藤百合
(2004年1月20日 記)
中1の夏休みに入った頃か、家族が側にいたのか全く記憶にない。何故バスで離れることになったのかも?
色々な人達が故郷を離れた。そして年を重ねると無性に懐かしさの余り思い出そうと。