番外編••••••防空壕 | 高橋正朝 #72

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 今回、言及する防空壕のことについては、大夕張とは何の関係もない。

 しかし、前回、大夕張に関わる H 氏の話として、防空壕の名詞をだした。

 だから、防空壕について、ひとくさり。

 

   

 台灣は日本から行く外国としては近距離であるし、親日的でもあるので、日本人には人気がある。 あなたが、もし、台灣に行く機会があり、そして街を散策したなら、防空壕を目にするかもしれない。

    

 台灣は、防空壕の設置を、漸増させている。 10万6千箇所を超えるらしい。

    

 現在、日本語で、ボウクウゴウを横書きで漢字表記すると、防空壕 となる。

    

 私が台灣で仕事をしていたとき、台北市で見た防空壕は、左から右に、洞空防 と、處空防 というものがあった。 

 右から読むというのは、年配の人に対する配慮だろう。 英語表記はなかった。 

 今は、左から右に、防空壕 と表記されているのが普通のようだ。 名称は統一したかどうかはしらない。

    

 台灣での一般市民が避難する防空壕の場所は秘密ではなく、現在は、アプリでも検索可能な公知である。

    

 そう、台灣市民は、日常的には切迫してはいないものの、大陸側と戦争になる可能性を、いつも認識している。

 1年に1回、防空演習がある。

 演習とはいっても、現在のところ、注意喚起のようなもので、時間は30分間ぐらい。 予告された日時に、人や自動車の往来はピタリととまる。 違反者は、結構な罰金を科せられる。

    

 一方の大陸側では、仮想敵国はあるだろうが、どの国とは特定していないものの、空撃されることを想定し、大都市では、当局から指定されたビルの地下には、防空壕の目的としか思えないようなものを造らされる。 否応がない。   

 私が、完成間際の超高層ビルの応援に行った最下層の部屋のトビラは、鉄筋コンクリート造で、厚みは 30cm ぐらいあった。

   

 歴史で学んだことだが、中国は、日本を含んだ列強に蚕食された経験があるから、周りはすべて敵だという意識なのだろう。

 上海租界という呼称は有名だが、租界地は、租界権を持った国が自治権と警察権を持ったのだから、植民地支配とほぼ同義だ。

     

 ヨーロッパの東欧圏の地下鉄は、かなり、地中深く設備されている。 これは、イザッというときは、防空壕として使用するためだ、ということを書いた本を、何冊か読んだことがある。

 旅行ガイドブックにも、そのようなことが書かれたものもあった。

 実際、エスカレータはあるものの、地下鉄ホームに行くのに、かなりの深さであることを実感する。

      

 日本には、太平洋戦争中に造られた防空壕が、数十カ所ぐらい残っているようだ。 内部見学できるものもあるらしい。

   

 スイス、スエーデン、フィンランドなどの平和的イメージの強い国々にも、防空壕はちゃんとあり、核シェルターもあるらしいが、日本には、核シェルターどころか、公的には現役の防空壕と名称するものはないようだ。

    

 もっとも、酒を般若湯と呼ぶがごとく、まったく別な表現になっているのかもしれないが ••••••。 蛇足だが、敗戦を終戦、敗走を転進なんて表現もある ••••••。 

  

 防衛省でなく、まだ防衛庁と呼ばれていた時代、自衛隊は、国際法的には軍隊である、という答弁を、テレビの国会中継ニュースで2回見たことがあった。

 しかし、防空壕の存在については、国会で、具体的な質疑があったというのは聞いたことがない。

    

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとき、日本政府は、北海道や東北地方の住民に、建物の中や地下に避難するよう注意喚起したが、いったいどうすりゃいいんだ?という感じで、具体的な行動は取らなかった人が大多数のようだったが ••••••。 

(2022年1月1日 記)


(筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。

 


 

1件のコメント

  • 昭和30年代から40年にかけて、大夕張にも防空壕の名残りのようなものがあってそこで遊んだ。
    街の中には、外地からの引き揚げ者、傷痍軍人の姿も見らた。
    昭和6年生まれの親は戦争の世の中で青春時代がなかった、みたいなこともよく言っていた。
    戦争は終わっていたとはいえ、まだその記憶がそこかしこにある、『戦後』の時代だった。
    それから時は流れ、世代交代、まちも美しく綺麗になった。さて。

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