番外編・・・ホテルの別館で見かけた有名人|高橋正朝 #73

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 今回も、大夕張とは何の関係もない。 しかし、話の流れでついでに書きます。

    

 前々回、大夕張に関わる H 氏と最初に遭ったのは、ホテルの別館の事務所であったことを述べました。

    

 H 氏がそこの事務所を去ってから3〜4日ぐらいしてから、昼休みにそのビルの周辺を散策しようと思いたち、エレベーターに向かった。

    

 エレベーターは3台設置されており、高層ビルだったのて、押しボタンを押してもすぐにはこない。

    

 私がエレベーターホールで待機して1分弱ぐらいしたら、廊下から複数の人の足音がしたので、振りかえつつ我が身を端に寄せた。

 それらの人々は、同じ会社の社員だろうと直感し、順番を譲る気になったのだ。

    

 正確に数えはしなかったが、男性は3人で、他の5〜6人は女性だった。

    

 男性の1人は、秘書のような印象の、30代半ばぐらいに見えた。

 

 他の2人の男性を見て驚いた。

   

 ある事件の主役の2人だった。

   

 その事件とは、国際的な贈収賄事件である。 他国でも同様な事件が発生していた。

    

 収賄側は、後に、○○将軍とアダ名される当時の首相である。

   

 贈賄側は、商社の当時の社長と専務であり、事件が露顕してから2人は急遽退職した。

    

 エレベーターホールに佇んでいたのは、私1人だけだったが、後ろから来た複数の人は、同じ会社の関係者だと察知していたから、その人たちに先に乗ってもらおうと身を引いたのだ。

 その咄嗟にとった行動のときには、商社の元社長と元専務だったとはすぐには気づかなかった。

    

 エレベーターを待っている1〜2分間、彼ら彼女たちを眺めてから、2人に気づいて驚いたわけだ。

    

 その事件は、発覚した当時、2人の人物も顔写真入りで報道されていたし、国会に召喚され、その様子がテレビ中継されたりもしたから、全国的によく知られていた。

   

 その2人と、秘書と思しき男性がエレベーターに乗るとき、私に軽く頭をさげた。 エレベーター待ちの順番を譲ったのが見えていたのだろう。 

   

 エレベーターが降下し、複数の秘書嬢が去るとき、リーダ-が私に丁寧にお辞儀をした。 あぁいった丁寧なお辞儀をされたことのない私は面食らった。 応答する私は、イェイェどういたしまして、の意で、無言で右手を左右に振っただけだった。 そのリーダー、挙措が優雅で美人だったなぁ ••••••。

   

 このときは、収賄事件の騒動はピークを越えた時期だった。 この2人の人物は、社長と専務を退任し、所在は不明ということになっていた。 ただし、私は、マスコミの一部は、彼らが、そのホテルの別館に事務所を持っていたのは知っていただろうと想像している。

    

 この事件には、いろんな特色ある人物が登場していた ••••••。 後継した首相にかかってきた奇怪な電話のヌシが、現職の判事だった、なんていうのもあった。 秘密代理人だったフィクサーの自宅に、セスナ機で、神風特攻した者もでてきた。

  

 言葉も色々でてきた。

   

〘 刎頸の友 〙という言葉は、中国の歴史に題材をとった小説にはたま〜にでてくる表現だが、現代日本でも使われるとは思わなかった。 〘 記憶にございません 〙〘 ハチのひと刺し 〙〘 よっしゃよっしゃ 〙なんて言葉も有名になった。

   

 変った言葉では、〘 ピーナッツ 〙というメモがあった。 英語の〘 peanuts 〙であるが、暗号というより、アメリカのスラングで、金の単位ではないかと思ったのだか、これを詳しく説明した本は見当たらないし、現在も見当たらない。 

  

 当時は、ネットで検索するなんてことはできなかったが、今回、あらためてネットでチェックしてみたら、〘 peanuts 〙のスラングでは、〘 つまらないモノ 〙〘 安モノ 〙〘 男性器のぺ○ス 〙な〜んていう意味が書かれていた。   

 これらは、当時のスラング事典にもでていた。 しかし、金の単位で使われているような説明は、ネットの検索でもでてこなかった。 ただし、〘 つまらないモノ 〙〘 安モノ 〙の意に通ずる〘 はした金 〙の意味で、トランプ元大統領の言動が、例としてでていた。

    

 この収賄事件では、ピーナッツ1個は、100万円に当たるということを、検察が突き止めたことを、この事件を書いた本にはたいてい載っている。 やはり、暗号と言えば暗号ということになるのだろう。

    

 しかし、私が1年ぐらい前、ユーチューブで見た、1940年代のアメリカのギャング映画の中で、ドルの大金を呼称するのに、〘 peanuts 〙という言葉がでてきた。 その映画でのギャングのやり取りでは、〘 はした金 〙の意味では使われていない。 あくまで、大金のドルの単位の意味で使われていた。

    

 大金を、〘 peanuts 〙という表現をした映画を、せめて5本ぐらい見たなら、ギャング仲間が使う言葉として、大金のドルの単位の暗号というか、隠語だろうと推察できるのだが、1本だけだと、何とも言えない ••••••。

    

 ギャングが、自嘲的にというか、反語的にというか、大金を目の前にして、〘 はした金 〙の意味での〘 peanuts 〙とうそぶいたのかもしれないことも考えられるからだ ••••••。

    

 しかし、滅多に使われることはないようだが、当時のギャング仲間では、ドルの大金の単位に使われていた可能性を否定することもできないような気がする。 現に、贈収賄事件にメモとして露顕した言葉だからだ。   

 もっとも、映画である以上、すべてが作り物であるから、どれくらい当時の真実を綯い交ぜにしていたかはわからない。

(2022年1月8日 記)


  

(筆者略歴)

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。


1件のコメント

  • 昭和47年頃、当時一年間かよっていた南19条の学校からよく中島公園の中を通って札幌の街まで出た。
    大夕張から出て直ぐのことで、札幌の街もめずらしくちょくちょく寄り道をしていた。
    中島公園の入り口にあるパークホテルのロビーで、椅子に座り、中年の男性と何やら話をしている長髪で背の高い細身の若者の姿を見た。
    そばにいた友人と「あれ、どこかでみたことあるよな」「うん・・・」すぐにわかった。
    当時売り出し中の松山千春だった。
    なぜ、そんな場所に自分がいたのかわからない。
    寄り道の途中だったのか、それともずっとあとのできごとなのか。
    _
    それはともかく、必然の出会いは別にして、偶然◯◯で△△に会った、見かけたといった類いの話は、最近は皆無。
    当然、活発に動いていた時期だったから、そういうことはよくおきたんだろうなあ。

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