千年町の思い出 | 菅井宏史
私にとって千年町は長らく住んでいた富士見町に次いで思い出深い町です。
といいますのも、実はわずか数カ月の短い間でしたが、何を隠そう千年町の住人であったからです。千年町界隈をよく自転車で走り回ったものです。(ああ、なんて懐かしい写真!)
『散歩道』の千年町住宅地図でパチンコ店と消防署の間が空き地になっていますが、昭和42年頃そこに郵政の官舎として(と思うのですが)平屋一戸建てのブロック住宅が四棟新築されました。
恐らくこの地図で空白になっているのは建築中であったためと思われます。
父は大夕張郵便局員で、同じく富士見町にいた職場仲間の家族と共に我が家もそこに引っ越すことになりま
した。
それまでの富士見町の煤汚い二軒続きの木造の古い家から、新築されたばかりの真っ白なブロックの一戸建てですから、それはもう嬉しかったの何のって、正に夢のようでした。
私の家は一番北側でバス通りに面していました。
子供部屋としていた部屋はそのバス通り側にあり、停留所も確かすぐそこであったと思います。
今思うとその窓からの眺めは千年町の中で一番賑やかな風景でした。
しかし、その嬉しさもつかの間、それから数カ月後には急に決まった父の転勤のため、大夕張を離れることとなってしまいました。
確か鹿島小4年生の夏前に千年町に移り(昭和42年)、秋頃にはそこを離れたと記憶してます。
そのまま大夕張に居続ければ、翌年の新学期から東小に移るはずでしたが・・千年町から鹿島小にその間通うことになりました。
富士見町時代は通学路には住宅しかありませんでしたが、鹿島小から千年町の通学路(校区が違うので通学路と言うべきではないですが)は何と刺激に満ちていたことでしょう。
下校時に、岳富町のレコード店で見かけた当時ヒット中のタイガースのA面「花の首飾り」とB面「銀河のロマンス」のレコードが欲しくて欲しくてたまらず、親にねだってついに買ってもらい、それを家のちゃちなプレー
ヤーで何度も何度も部屋で聞いたものです。部屋の窓から見える千年町の賑やかな通りの様子を眺めながら・・。
そういえば銀河のロマンスの中の「アイ・ラブ・ユー、燃える頬に美しい愛のくちづけ」というフレーズが4年生の私にはちょっと恥ずかしかったですね(笑)。
その後もタイガースのこの二つの曲を耳にすると、窓から見える千年町のその賑やかな様子が浮かんで来たものです。
千年町時代が余りにも短かったもので、もはやその時のことはほとんど記憶の表面には現れないのですが、今日、駅前通りの写真を見て、急に懐かしくなり、思い出すまま書いてみました。
(1999年12月8日 記)