旧明石町駅 1997
2022-11-26
17050
1997年(平成9年)5月の旧明石町駅。
昭和48年(1973年)に廃止になってから24年、屋根が傾き、窓には木の板が打ち付けられながら、なんとかそこに建っていた。
この時期、故郷の大夕張を訪れた人は、きっとそうであるように、自分も「そこにある」ものたちを夢中で写真に収めたのだった。
正面の入り口を入って、奥の改札を抜けると一段高いところにあるホームへ通じる地下歩道がある。
線路跡は、サイクリングロードとなり白い手すりが見える位置にあった。
1999年6月に訪れた時、かつて大夕張の玄関口であった明石町駅の建物は、瓦礫の山となっていた。
その瓦礫の山の写真もとり、記録として見返すこともあるが、胸の内ではあまり気持ちの良いものではなく複雑な思いでもある。
大夕張を故郷とする一人の『訪問者』に過ぎないものの視線ではあったが、短い時間に今まであった古いものが、次々と喪われていくという空しさや淋しさが去来した。