ザリガニが棲む沢の探検|高橋正朝#153

60271

 

 

 前回、私も含んだ勉強などしないヒマな少年たちが、道路工事現場をちょくちょく見に行ったことを書いた。 その道路工事の最も苦労していたのが、沢の埋め立てだったように思う。

    

 私たち明石町に住んでいた少年たちが見に行った工事現場は、竜田の沢の埋め立て工事よりも、シューパロ湖寄りの工事現場に行くほうが多かった。

 理由は、光る青緑の鉱物や金色に光る鉱物、それに、水晶っぽい鉱物を拾うことだった。

 

   

 それ以外、沢の探検があった。

 香椎沢、五十鈴沢である。

 その辺りは、もしかして、クマが出るかもしれないという恐れがある場所だ。 しかし、大勢の人が働いている工事現場がすぐ傍なら、クマのほうが人間を恐れて、マ、安全だろうという子ども心のヨミがあった。

    

 それらの沢すべてではないが、ザリガニがよく捕れた。

    

 鉱物、植物に限らず、動物の細目の種類・名称には私はとんと興味がないがため、捕れたザリガニの種類はわからない。 しかし、遊び仲間の数人がアメリカザリガニだと言っていた。

    

 後に、日本でのアメリカザリガニの繁殖のスピードを数冊の本で読み、それで、大夕張での少年時代に捕っていたザリガニは、アメリカザリガニだと言った遊び仲間の言が浮かび、かつそれが正しかったということが思いだされた。

    

 竜田沢、旭沢、明石沢では、私はザリガニを見つけたことは一度もなかった。 それらの沢にはキレイな水が流れる。

    

 私の行動範囲では、淀んだ水がある沢にザリガニが棲んでいたと言っていい。

 ただし、淀んだ水溜まりがある沢でも、ザリガニが棲んでいないこともあった。 明石町駅の山側にあった溜池に注ぐ沢で、私はザリガニを見つけたことはない。 また、明石沢から100 m ぐらい南部方向寄りの、沢とも言えない淀んだ水の流れがあったが、そこでも、ザリガニを見つけたことはなかった。

  

 しかし、アメリカザリガニがワンサカ棲んでいた沢があった。

   

 それが、先に挙げた工事現場に近い沢である。

 ただし、その沢は大きくなく、今思うに、香椎沢や五十鈴沢の支流だったように思う。

 というのは、ザリガニがワンサカいた場所は、腐った倒木や小枝や落ち葉があり、その淀みのなかの小石をどけると、ザリガニがそこにいた。

    

 その辺りに棲んでいたザリガニは、とにかく大きかった。 大きいものは、印象としては、10 cm ぐらいあったかもしれない。 実際は、もう少し小さかったかもしれないが ••••••。

  

 また、とても小さいザリガニの子どもが、ザリガニのメス( 多分 )の腹に群がっているのを数匹見ている。 なかには、白っぽい、卵から孵化したての子ザリガニが、親ザリガニの腹部に蠢いているのも数匹見たこともあった。

    

 とにかく、その辺りの沢のザリガニは、大きくて丸々と太っていた。 その当日、私はエビなどを食したことはなく、ザリガニはエビの姿型に似ているので、食べられるのではないかと思ったが、もちろん、食べはしなかった。

   

 私が5歳ぐらいのころ、もう、顔も名前も覚えていないが、明石町番外地から少し離れた場所、明石沢の対面の長屋に住んでいた数家族の大人が、夏のある日の夕方、外に出していた煮炊き用の薪ストーブの上に、生きたザリガニをのせて焼いて食べていた。

    

 私の母親はそれを見て、私には、絶対に食べるなと厳命した。 寄生虫のことなど知る由もないもない幼児だったが、そのことは固く守った。

    

 その長屋は1〜2年後に取り壊され、そこに住んでいた人たちは、どこかに移っていった。

 

 

(2023年7月15日 記) 


 


 

(筆者略歴)   

 昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。以後、仕事の関係で海外で長く生活。現在は、タイ、バンコクで暮らす。

メール宛先:tkhsmstm@hotmail.co.jp


 

2件のコメント

  • ザリガニとりとは懐かしい・・私も時々採って遊んだ。
    覚えているのは緑町の裏に流れていた下水溝のような小さな沢と
    春日橋を渡って便所場球場と呼ばれることになる広場の先にあった清い沢の少し上流。
    採ったのはどちらも青黒くて小さく、ニホンザリガニだと思いこんでいたけれど、
    緑町のものは、あるいは外来種の「子供」だったのかもしれない。
    ちなみに、飼った記憶はありません~ (^^♪

  • 自分もザリガニには思い出深い。
    ザリガニ採りが好きで天気のいい日には飽きることなく日が暮れる迄やっていた少年だった。

    自分のザリガニの採集場所は、富士見町3丁目と6丁目の家があった裏の沢。
    その二カ所だ。それは場所は違うがたぶん同じ沢の流れだったと思う。

     
    沢は巾30㎝ほどで、山から湧いた綺麗な水がチョロチョロと流れる、そんな場所だった。
    サリガ二が潜んでいる場所の様子は高橋さんも書いているとおりなのだが、自分がとっていたザリガニはちょっと違っていた。
     
    体は小さくて体長は5㎝前後、大人の小指の長さくらい。
    大きくても7、8㎝だった。色も泥のような色にどこか緑っぽい。
     
    後年アメリカザリガニを手にした時に、「ずいぶん大型で色も赤く凶暴なやつだな」と思い、自分が家の裏の沢でみたのとは違った印象だった。その時、自分が遊んだやつは、ニホンザリガニだったのかなと思った。
     
    裏の沢で採ったザリガニは、家にあった「薬の缶」や「菓子缶」などに入れ、飼うことになるのだが、餌は何をやるのだろうと、悩んでいたくらいだから、そのうち放置されてかわいそうなことになり、強烈な悪臭とともに川へ戻される・・。懲りずに何度繰り返したことか・・・。
     
    採るのは好きだが、飼うのは苦手な性分・・・というのか、単に飽きっぽい性格だったのかもしれない。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

アップロードファイルの最大サイズ: 5 MB。 画像, 音声, 動画, 文書, スプレッドシート, 対話型, テキスト, アーカイブ, コード, その他 をアップロードできます。 Youtube、Facebook、Twitter および他サービスへのリンクは自動的にコメント内に埋め込まれます。 ここにファイルをドロップ