カシオペアの丘で | 久々湊眞一

60601

久しぶりに、夢中になって本を読んだ。

カシオペアの丘で(上、下)
重松清 著作、講談社

 

読んだ動機は、この本の舞台が「私が生まれ育った場所「大夕張」に非常に似ている」ことによる。

 

たとえば、上巻の最初のページを抜書きしてみよう。

 
「かつて、そこは炭鉱だった。何年か先には、ダム湖になる。北海道の真ん中あたりにあるこの街では、十月はもう晩秋だ。」

 

97ページ

「機関車は動くことはない。駅舎だけ、軽便鉄道の資料館として保管されている。」

 
まるで南部の大夕張鉄道保存会のようではないか。

 

109ページから111ページには、このような事が書かれている。

 
「そして - 事故が起きた。メタンガスが岩盤から突出し、坑道内に噴き出した。爆発事故から五日目、倉田千太郎は注水を決意した。」

 
忘れられない大夕張の坑内事故とその対応を彷彿とさせる。

 

それから、下巻の327ページ

「雪の降り積もる街はいい。雪は優しい。」

に共感する。

 

北都観音は無いけれども、カシオペアの丘は夕張東高校があった場所かもしれない。

 

作者の重松清さんは「親が子に、夫が妻にどんなことを伝えられるか」を物語のテーマにしたと言っています。

 

私は「赦すこと、赦されること」が主題のように思う。

 

 

(2007年10月20日 記)



 


随想

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