まぼろし!大夕張の食べ物 |久々湊真一

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 時々無性に食べたくなる大夕張の食べ物について、思いつくまま書いてみます。

 
 大夕張だけの物なのか、道内各地でポピュラーな物なのかは、不明。

 内地に来てからは、全く見かけません。

 
<ボリボリ>


 この茸は、味噌汁の具として食べた。

 ナメコと椎茸の中間位の大きさで歯ごたえが良かった(ボリボリとはここからの通称でしょうが、正式名称は不明)。

 癖が無くて味が良く、おかわりをしたものです。

 簡単に手に入ったけれど、どこから入手したかの記憶がありません。夕張岳登山時に、お花畑の付近で群生しているのを見かけたことがある。

 
<カイグサ(いら草)>

 
 葉に触ると痛くて痒くなる(軍手を穿いて採取した)ため、かい草という通称で呼んでいた。大夕張では、いたるところに繁茂していた。これをオヒタシにして食べたが、シャキシャキして美味かった。

 
<葬式饅頭>

 
 バナナの形状をしていた。

 皮の部分はカステラで出来ていて、ドラ焼きの皮と似た感触。中にあずきのつぶし餡が入っていた。葬式のお返し物として使われていたが子供のころは意味もわからず喜々として食べていた。

 
<煎餅のミミ>


 小学生の「買い食い」の常套手段。

 安くてうまかったが、売って無い日もあった。
 現在までにパンの耳は見かけるけれど、煎餅の耳は大夕張のあの場所「トラや」でしか見たことが無い。

 
<じゃが芋>

 
 石炭のアクの中に皮ごと入れて、蒸焼きにした。

 皮を剥いてバターをつけたりしたら、もう止められない。

 芋自体は男爵芋といって内地でも入手出来るが、大夕張の「だるまストーブ・石炭・アク」でなければこのうまさは味わえないと思う。

 又、石炭ストーブの上には金網を載せ、餅はもちろん塩辛なども焼いて食べたが、これらを含めて、永久に失われてしまった事柄かもしれない。

 
<マス漬>

 
 キャベツ、大根とともに魚(鮭、鱒)の切り身が入った漬物。

 柔らかいキャベツ、味の沁みた大根、クニュっとシナヤカな魚の感触が絶品です。

 大夕張閉山で印刷屋廃業の両親を内地に呼んで、まず頼んだのは「鱒漬けを作って!」でした。

 冷蔵庫を利用して苦心の末作ってもらいましたが、やはり涙が千切れるほど、うまかった。

 

 忘れられない、ふるさとの味です。

 

(2001年5月23日 記)

 


随想

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