大夕張つれづれ■ネコの話■|高橋正朝 #26
私は子供のころからネコが好きでした。
家でもネコを飼っていました。
4人兄妹弟でしたが、妹や弟は特にネコ好きということではなかった。
ネコではあっても、誰が自分を可愛がってくれるのか分かるらしく、冬の夜、寒いときは寝ている私の枕元にきて、「 ニャ~ 」と鳴いて布団の中にもぐることをねだります。
すぐ布団の中に入れ、喉をなでつけ、ネコはゴロゴロ音を立て、それを聞きながら寝入ったものです。
飼いネコは、ネズミを捕獲すると、獲物を主人に見せに来ることがよくあるといいますが、家で飼っていたネコもそうでした。
熱い国に住んでいる人々は、日常の動作が緩慢です。
これは、健康のことを考えれば当然です。
タイ人もそうです。暑い中で作業を継続的に行うには、やむを得ない。
タイでは、熱いだけでなく、敬虔な仏教国でもあり、食べるものは仕方がないとして、殺生は可能な限りしないことが生活に根付いている。
野良イヌもいじめられこともないので、のんびりしている、というか、グータラしている。
ネコもグータラしている。
私が以前住んでいたアパートは、歩く時間も考え、職場に近い所に借りていました。 そこは1~3階に、日系のスーパーや、日本語書店、ラーメン屋、居酒屋、床屋などがあり、1階には喫茶店がありました。
ある日の日曜日、私はあまり冷房は好きではないので、喫茶店の外の席でコーヒーを飲んでいました。
すぐ傍らにはネコが1匹うたた寝。
実にのんびりした朝でした。
突然、うたた寝していたネコがすぐ横の壁に向かってダッシュしました。
何事かと思ってそこを見ると、 ネコがネズミを獲ったところでした。
いつもはグータラしているネコなのに、そのダッシュの素早さには驚きました。本能なんですネ。
驚きはまだ続きました。
ネコは、捕獲したネズミを殺してはいなかったのです。ネズミが逃げようとして30センチぐらい動くと、ネコが爪で引掻きます。いたぶっているんですネ。オモチャにしている。
小説の暴力シーンで、「 ネコがネズミをいたぶるように・・・・・・ 」という表現が出てくることがありますが、実際に見たのは初めてでした。
デジカメをいつも腰に携帯しているので、 すぐに連続写真をとりました。
その場所は、 バイクタクシーの乗り場でした。
バイクタクシーというのは、料金を払ってオートバイの後部座席に乗るシステムです。そこに屯していた運チャンが、ネコからネズミを取り上げ、そのネズミを手の中で労わって他の場所に持っていきました。
これにも驚いたけど、これはこの運チャン個人の性格からきているか、もしくは、極端に敬虔な仏教徒だったのかもしれない。
他の5~6人の運チャンは、ネコがネズミをいたぶるのを見ていただけでしたから。
高橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2013/05/18 _ 11:40:42
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。