大夕張つれづれ■鉄腕アトムの手■高橋正朝 #51

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 目にした人も多いだろうと思うけど、日本経済新聞2016年(平成28年)3月7日付に、関西経済特集があった。

 その中に、関西の鉄道9社が、訪日客向けの共通乗車券「 関西ワンバス 」を、4月8日から試験販売を始める、という記事が出ていた。

 西日本旅客鉄道( JR西日本 )の、ICカード乗車券「 ICOA(イコカ)」がベースになっているそうで、デザインが手塚治虫の鉄腕アトムで、そのカードの写真が出ていた。

 アトムが駆けている姿である。手の指は4本である。この手の指が4本ということで、ある記憶がある。

 それは私が鹿島東小学校4年生のときだったと思うが、光文社の月刊雑誌 「 少年 」に載っていた読者のマンガの似顔絵である。当時のマンガ雑誌には、読者からの似顔絵コーナーがあった。ほとんど漫画の主人公であるが、ときにはワキ役の似顔絵があったり、顔だけでなく体全体を描いたものも当然あった。

 特選とか1等とか、入選、佳作などと、順位付けがしてあった。何月号であったかまでは覚えてがないが、雪のない季節の号である。特選で、鉄腕アトムの体全体を描いた読者投稿の絵が載っていた。

 ものすごくウマイ。

 その絵の短評の文章そのものは覚えてないが、意味としてはこうだ。

「 指は4本でなく、5本描くように 」

 それまで、マンガを読むのに、そんな細かなところまでは見ていなかった。マンガを含めて絵を描くのは好きではあったが、そういう細かな観察はゼロであった。

 当時の手塚治虫は、意識してアトムだけでなく人間の手の指を4本にしていたようである。

 倒産した学童社の雑誌「 マンガ少年 」に、手塚治虫がジャングル大帝や火の鳥を連載していたが、たしか、火の鳥を連載中に、マンガ大学という数ページの漫画の描き方の連載のなかだったと思うが、人間の手の指は、4本で描いた方が自然に見える、と主人公の教授に言わせていたような記憶がある。

 ただし、手塚治虫の初期のマンガ、特に鉄腕アトムが比較しやすいが、アトムや人間の手の指は、5本だったり4本だったりして一貫性がない。後半はほとんど4本指である。

 現在、高田馬場駅の電車の発着の警報音に、鉄腕アトムの主題歌のイントロを流しているが、その高田馬場駅を出てすぐのガードのコンクリート壁には、手塚治虫のマンガのキャラクターが描かれている。ここの絵の人間やアトムの手の指はどれも5本指だ。

 バンコクには紀伊国屋書店が3店舗あり、先日、洋書売り場に行ったら、手塚治虫の「 ASTRO BOY 」があった。

 鉄腕アトムの英語版である。ビニールで覆われているので中をみれなかったが、表紙をみたら、指は4本だった。ということは、鉄腕アトムのアニメをアメリカに輸出したときも、指は4本だった可能性がある。


高橋 正朝 ( たかはし まさとも )2016/03/09 _ 10:23:08

昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住


大夕張つれづれ

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