大夕張礦業所 事務所

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 昭和30年代、ゲートを通って中にはいったところで、正面に事務所が見える。

 子どもの時、一度、ゲートをくぐってこの広い庭のある場所に来たという、遠い記憶がある。

 なぜ、子どもがここに来たのか、遊んでいるうちに、大人の目をかいくぐって入り込んだのか、大人と一緒に連れられてきたのか、誰と来たのか?

 もう60年程前になる子どもの頃の記憶では、例によって、脈略のあることはさっぱり覚えていない。

 ここは、子どもにとって縁のある場所ではなかった。大人の働く神聖な場所、というような感じだった。

  

 広い庭と、花が咲いている花壇があった、ただそれだけでは、なかった。

『ここに来たことがある』という記憶を鮮明にしたのは、そこには、コンクリート製の、今でいうと地下歩道への入り口のような形をした構造物があったからだ。

中をのぞくと、昼でも薄暗く、ひんやりとしたけっこうな広さの空間があった。

 

『防空壕』・・・と、誰かに教えられたのか、自分で勝手に思い込んだのか、定かではない。

 ただ、その構造物を見たことで、言葉と結びつき「ここに防空壕があった」、それが今でも頭の中に残っている。

 

白黒写真に着色した画像
昭和30年代 正面には、大夕張礦業所 事務所。
左には連絡板のそばで、作業の合間に一休みする人の姿もうつり込んでいる。

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