コークス工場のにわかプール|小林光志

18292

 昭和30年前後、私が小学生の頃、栄町のプールは、自由に使用できませんでした。

 開放日には、大夕張中の人が来るので、手足を伸ばして泳げませんでした。

 
 なにより期間が短かったので、もっぱら洗炭場の上や、いそじろの沢などで泳ぎました。

 

 

 しかし、秘密の場所がありました。

  

 それは、コークス工場の排水場所です。

 ここは、1年中コークス洗浄後の温水がありました。

 プール開放前や、後の寒いときでもよく行って泳ぎました。

 子供には、ちょうど良い小さな排水プールでした。

 

 
 足が届かないほど深くて、ちょっと危険な秘密の遊び場所でした。

 しかし、結構多くの子供が来ていましたよ。だれか知っている人もいることでしょう。

 

 私の父の現場は、その裏にある機関庫でしたので、あのあたりは、遊び場所の一部でした。立入禁止区域でしたので、スリルを楽しんだ思い出があります。

 

 ランドセルを背負ったまま親父の現場へ良く行きました。

 

 
 また、あのあたり、工場を一歩出ると、ふき、キノコ、やまぶどう、こくわの実、おんこの実、熊いちご、川では、うぐい、ドジョウ、やつめうなぎなど、自然が豊富でした。

 

 大夕張の周囲の山全てが、遊び場所でした。

 

 戦後間もないなにもない頃でしたが、子供同士の遊びに不自由を感じませんでした。

 

 今の世の中、余りにも便利のものが出回り、一度経験すると生活は後に戻れなくなるものですね。思い出だけが甦ります。

 

(1999年12月10日 記)

 


思い出ばなし

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