春は線路からやってくる

15136

私の住む札幌もようやく雪がとけ、春の訪れを感じさせます。

そんな時期になると、いつも思い出す、忘れることのできない詩があります。

 

大夕張を出てから出会った、言葉に初めて故郷を感じた、詩でもありました。

小学校の国語の教科書にのっていた詩です。

 

「春」  杉みきこ (加代の四季より)

 
春は、線路からやってくる。

線路の雪は、どこよりも早く解けて、青草がちらほら。

その間に、気早にも黄色い花がさいたりする。


—どこかに、春がたくさんあるんだ。


だれかが、それを貨物列車に乗っけて、遠くへ運んでいくんだ。

だけど、汽車ってゆれるから、この辺で春が少しこぼれて落ちちゃって、

だから線路には、ほかより早く春が来るんだ。

加代は、そう信じている

 

 

行く人来る人、鉄路が町の中心にあった暮らし

雪に閉ざされた長い冬、春を待ちわびていた。

雪がとけ あたたかな日差しとともに、一気に花が咲きだす。 

白一面の世界から、色があふれる町に変貌を遂げる喜び

 

それらが『春は線路からやってくる』のフレーズに凝縮されているような気がします。

  

きっと作者もそんな環境の中で生れ育ったのではないかと思って、調べて見ました。

やはり、1930年に豪雪地帯で有名な新潟県高田市(現・上越市)に生ま育った方でした。

 

この詩のベースにあるのは、そんな雪国で育った人には、共通の体験があったと思います。


備忘録

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

アップロードファイルの最大サイズ: 5 MB。 画像, 音声, 動画, 文書, スプレッドシート, 対話型, テキスト, アーカイブ, コード, その他 をアップロードできます。 Youtube、Facebook、Twitter および他サービスへのリンクは自動的にコメント内に埋め込まれます。 ここにファイルをドロップ