春は線路からやってくる

13907

私の住む札幌もようやく雪がとけ、春の訪れを感じさせます。

そんな時期になると、いつも思い出す、忘れることのできない詩があります。

 

大夕張を出てから出会った、言葉に初めて故郷を感じた、詩でもありました。

小学校の国語の教科書にのっていた詩です。

 

「春」  杉みきこ (加代の四季より)

 
春は、線路からやってくる。

線路の雪は、どこよりも早く解けて、青草がちらほら。

その間に、気早にも黄色い花がさいたりする。


—どこかに、春がたくさんあるんだ。


だれかが、それを貨物列車に乗っけて、遠くへ運んでいくんだ。

だけど、汽車ってゆれるから、この辺で春が少しこぼれて落ちちゃって、

だから線路には、ほかより早く春が来るんだ。

加代は、そう信じている

 

 

行く人来る人、鉄路が町の中心にあった暮らし

雪に閉ざされた長い冬、春を待ちわびていた。

雪がとけ あたたかな日差しとともに、一気に花が咲きだす。 

白一面の世界から、色があふれる町に変貌を遂げる喜び

 

それらが『春は線路からやってくる』のフレーズに凝縮されているような気がします。

  

きっと作者もそんな環境の中で生れ育ったのではないかと思って、調べて見ました。

やはり、1930年に豪雪地帯で有名な新潟県高田市(現・上越市)に生ま育った方でした。

 

この詩のベースにあるのは、そんな雪国で育った人には、共通の体験があったと思います。


備忘録

 

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