お祭り集合写真(富士見町)
2022-06-15
20461
昭和37、8年頃。富士見町詰所前。
線路をはさんで向こうに健保会館の屋根が見える。
父がお世話役の一人としてうつっている。
男兄弟ふたりがいた我が家だったが、ここにはいない。
特に引っ込み思案で恥ずかしがりの私は、ここにいたとしても、雨のそぼ降るこの日の天気、早く帰りたくて泣きべそをかきながら立っていただろうか。
そう思って写真を見てみると、一人いた。そんな表情をしているような子が・・・。
こちらから向こうに向かう線路そばの道、鹿島小学校の通学路だった。
1年生の時のある冬の日、学校でテストを返してもらった。
ちょっと親に見せられないような点数だった。
「どうしよう、叱られる」
そればかり考えて歩いていると、詰所の窓の庇(ひさし)の板の間に隙間があるのを見つけた。
道路脇の雪山に登ればそこに手が届きそうだった。
「隠そう」
そう心に決め、テストを小さく折り隙間に入れた。そして一目散に家に帰った。
親の前では、素知らぬ顔でいたが、内心
「誰かが見つけて家に届けたらどうしよう」
とドキドキだった。
しかし、それがバレることはなく日がたち、いつしか忘れた。
でも、その後味の悪さに、それからは、二度としなかった。
富士見町の詰所の写真を見るといつも思いだす、懐かしい記憶である。