明石町駅地下通路 ホーム跡 1999
1999年(平成11年)6月、旧明石町駅舎が取壊しになった。その10日ほど前。
大夕張の玄関口だったという駅も、中学校を卒業して大夕張のまちを出た自分にとって、明石町駅は大夕張のはずれの駅という印象をどうしても拭えなかった。
私は、ここで乗り降りしたことはなかったが、鹿島(夕張東高)高に通う学生たちや、夕張岳に向かう登山客が利用していたという。
そんな往時の跡を辿るつもりで、駅舎から地下通路の瓦礫の中を進み、一段高くなった上の跡地に立った。大夕張を出て以来、そうしてみたのはこの時が初めてだった。
そこは平らになったサイクリングロードのアスファルトの小道と白い鉄柵が続いていた。ホームや鉄路の面影も無かった。
明石町駅。
年表風に山史(大夕張鉄道58年史)『駅の歴史』から切り抜くと、
明石町駅 清水沢起点13K603M 社起点13K400M
昭和20年5月6日 食料増産の為農場前臨時乗降場として発足
昭和21年2月1日 第1農場前臨時乗降場と改称
昭和25年11月1日 通勤者輸送の為駅に昇格明石町駅称し旅客荷物貨物の
社内取扱開始
昭和28年5月11日 連絡運輸取扱開始
昭和33年11月4日 乗降場地下道完成
昭和37年12月2日 手小配達及小口扱取扱廃止
となる。
昭和33年(1958年)にホームと地下通路が完成し、整備されたのだろう。
昭和30年代、ホームをはさんで汽車がすれ違う。
ここと南大夕張の駅もそうだった。
子どもの頃に体験したささいな出来事や、目にした光景が強い印象を残すことがある。
客車の窓から外をみていた時のこと。
「ガタン」という音がしたと思った瞬間、列車が動きだした。
と思ったら、実はホームの向かいに止まっていた列車が動き出したので、自分が動いたように感じたのだった。
そんな錯覚は、子どもの頃に感じた不思議な出来事だった。
停車中のそんな体験を南大夕張駅でのこととして覚えているが、明石町駅でもそんなことがあったかもしれない。