消えた缶ビール|久々湊真一
本州に来て暫く経ったある日、
『寒さに対する自分の感覚が、内地の人と多少違う』
ということに気がつきました。
内地の人は氷点下になると、全部「寒い」の一言になってしまって
「どのぐらい寒いのか(寒さの程度)」
をあまり区別していないようです。
私は、例えば氷点下5℃と氷点下20℃の違いが、肌で判ります。
スキーのエッジに指を触れて、皮膚がくっつくか・つかないか。
立ちションをして黄色い氷柱が立つか立たないか(品が無くて失礼)
等々。
これらは、大夕張で自然に会得した感覚であり、前者が所謂「シバレル」なのでしょう。
子供の頃は、シバレ現象を利用した遊びもやりました。
風呂(宝町公衆浴場)に行き、帰りにタオルを広げて持っていると、カチンカチンに凍って板状になりました。
この応用で『タオルを筒状にして下げ』凍らせながら持ちかえり、刀の代わりにして、家の前で弟とチャンバラごっこをした事もあります。
こんな話を内地の人に言ってもピンと来ないどころか「変な自慢をしている変わり者」と見られてしまいます(汗)。
大夕張人には、この話は良~く判りますよね(笑)。
一方、天然の冷蔵庫としても、雪を利用しましたね。
正月帰省時(学生時代)の思い出です。
友達と山スキーをやることになり錦町の裏山に登りました。
スキーは寒いものと思われますが、実は非常に汗をかき、身体が熱くなります。で、これに備えて、缶ビールを持参しました。
山の麓で『少しだけ頭を出して缶ビールを雪に埋め』冷やしておき、滑り終えた時に喉の乾きを癒そう
との算段です。
まさに雪は天然の冷凍庫ですよね。
登っているうちに、チラホラ雪が舞ってきたので、程々の所で登るのを中止しました。点の様な大夕張の町並みを眺め、後は一気に滑り降ります。
途中から雪が強くなり視界が悪くなったため、慎重に降りてきて、無事ふもとに到着!!
さー「ビールで乾杯」と埋めた辺りを見たら、降り積もった雪に完全に覆われていて『どこに埋めたのか判らない』のです(汗)。
捜せども吹雪いてきたため、スゴスゴと家に帰りました(涙)。
<天然冷蔵庫の利用は、何があっても判る目印をつけよ>との教訓でした(笑)。
それとこの時期、ワカサギは当時、食卓にのっていました。
つくだ煮になっていたですよね。
あれは,今思えばシューパロ湖のワカサギだったのでしょう。
音楽の後,閉山放送のニュース,そして,大夕張の歴史を振り返る特別番組となっています。
沈痛な思いで聞かざるを得ないのですが,その中にも鹿島東の小学生の表現力の素晴らしさに改めて心打たれます。
(2002年2月19日 記)
『昭和48年鹿島東小学校校内放送(閉山特集)』