大夕張つれづれ■戒律■|高橋正朝 #36
イスラム世界のことは、日本に馴染みがないせいか、我々が子供のころは授業で触れることは少なかった。
それでも中学生のころ知ったイスラム教のことで、もう一つ強烈な印象としては、四人まで正式に妻を娶ることができる、というのがあった。
私が中近東に住んで実際に見たケースでは、3人というのが1例だけあった。
2人の妻をもっているケースはままあるものの、大多数は1人だけだ。
4人妻を持っているのは見たことがない。
しかし、サウジアラビアでは4人妻を持っている男が、割といただろうと思う。アメリカで起こったキリスト教の一派のモルモンは、4人まで妻を娶ることができるが、教義のうえではOKでも、アメリカの法律はそれを許していない。
リビアで生活しているとき、電話技術者のスーダン人と話をしたことがある。彼の将来の望みは、「 金を貯めて、妻を2人娶ることだ 」と言った。
それに対し、私は、「 それは不道徳じゃないか 」と言った。
その国の政治や宗教のことを議論するのは、リビアや中近東では非常にまずいのだが、リビアにとってスーダン人は外国人だから私もそれほど気にせず言ったわけだ。
彼の回答、「 欧米人を見てみろ。全員ではないが結婚していても浮気するじゃないか。オレはそういうことは絶対しない。2人の妻を平等に愛する 」私は反論できなかった。
イスラム教の戒律が厳しい国では、家族以外の男女が公衆の面前で話をするのは厳禁だ。
リビアに行って、イスラム教の戒律の厳しさに実感がないころ、私がオハヨウという意味の「 サバヘィル 」と少女に言っただけで危うく刑務所にぶち込まれるところだった。
サウジアラビアも戒律が厳しい。
アルジェリアはそいうことはない。
サダムフセイン大統領時代のイラクは、若い女性の殆どは洋装で、建設関係の設計や図面を描いているのは、男性よりも女性の方が圧倒的に多かった。
イラン・イラク戦争の最中で、男は戦場に行ってるせいもあったかもしれないが・・・・・・来る東京オリンピックの新国立競技場のデザインは、イギリス在住ではあるがイラク人女性だ。
私がいた当時のイラクでは男女が会話をするのは問題がなかった。それどころか、たった1回だけだったけど、職場にシースルーのブラウスを着てきた20代後半の女性もいた。上半身がすべて見えるので、これにはみんなびっくりした。
高橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2014/04/28 _ 12:22:40
昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住。