坑内での弁当|今井一郎

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 長谷川さんの『食憶(エピソード1)』を読んで思い出しました。

 

 そうそう。みんな水筒には、お茶。特大のマヨネーズのチューブには、水を入れて凍らせていました。

 入坑してすぐには凍っていて飲めないので、チビチビと休憩の度に解けた分を飲むと、節水(?)にも役立つとのこと。

 私も真似をしようと思いながらも、中に残ったマヨネーズを洗い落とすのがめんどうそうで、その前に一人暮らしで特大のマヨネーズを最後まで消費するのに、気が遠くなりそうでやめました。

 
 先日、シューパロ塾で、南部の客車周りの草刈りのあと、打合せのとき、アルマイトの弁当箱の話になって、私は少々熱く語ってしまいました。

 
 今は売っていないけど、長谷川さんのお父さんの言われるように、坑内は暑くて、弁当は塩分を多くしたおかずばかり。アルミの弁当箱だったらすぐに酸化してしまいそう。

 日の丸の梅干しの部分なんて特に。

 
 ご飯とおかずで大きい弁当箱ふたつ。

 我ながらあの時はよく食べた。

 
 そうそう、忘れてならないネズミ。

 坑内で見るネズミの大きいこと。

 
 よくあんな真っ暗な中で感心させられました。

 
 坑内ではネズミに弁当を取られないように、山水管やエアー管からバンセン(番線?)で吊るしました。

 坑枠にも吊るしたことがありましたが、枠を伝ったネズミに、弁当箱をかじられまして、穴があきました。

 
 あのネズミたちはいずこに行ったのでしょうか?

 

(1999年8月3日 記)


思い出ばなし

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