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第1編沿革 第4章 地方鉄道改組

第4章 地方鉄道改組

1、 地方鉄道改組

 大夕張専用鉄道沿線住民の福祉と地区産業発達に資する目的をもって、

 昭和12年7月21日鉄道省陸運監督局に対し、専用鉄道を地方鉄道に変更の申請書を提出、翌昭和13年10月20日付監第7802号をもって認可となり、

 昭和14年4月20日線名を三菱鉱業株式会社線と称し、地方鉄道として営業を開始せり。

 但し、貸切扱い(現車扱貨物)については、即日省線との連絡運輸の取扱いを実施せるも、旅客及び荷物並びに小口扱貨物については、昭和16年12月1日より連絡運輸を実施せり。

営業開業時の現状

(1) 停車場及び実測換算中心粁程

駅 名 社線岐点より
粁 米
   備    考
新清水沢0.150省線清水沢駅を共同使用せず社駅を有す
南大夕張7.400
大夕張15.638
大夕張炭山16.998昭和13年10月10日、従来の通洞の駅名を改称、貨物のみ取扱う

(2) 営業粁程

清水沢0.47.615.817.2
新清水沢7.215.416.8
南大夕張8.29.6
大夕張1.4
大夕張炭山

(3) 旅客運賃

1粁当り賃率、省線と同額、1銭5厘6毛

新清水沢1224
南大夕張13
大夕張

上記運賃により開業し、尚連絡乗車券の発売は、昭和16年12月1日なるも、旅客は、新清水沢駅に於て下車、省線清水沢駅迄、約350米を徒歩連絡により、乗継せり。

(4) 貨物運賃

省線貨車を直通乗入し、大夕張炭山~清水沢間営業粁程 17.2粁。

石炭等級は7級、18粁の屯当賃率50銭なるも通算制のため社線収得額約60銭となれり。

(5) 保安方式

専用鉄道当時のスタフ閉塞式を改め、タブレット閉塞器を設置し運転の安全を確保せり。


(注)スタフ閉塞方式
閉塞区間にスタフ(棒)を設け、これを携行する列車のみ、その閉塞区間の運行権を与えるもので、他に補助手段を持たない最も単純な閉塞方式であり、隣接する閉塞区間のスタフは、その形状を異にする。

(6) 車両

 地方鉄道改組に備え、昭和12年8月12日、新製蒸気機関車9603号入線、更に、同年10月半鋼製2軸ボギー客車ナハ1号入線、客貨輸送に一新紀元を画せり。

 昭和16年1月、増備の第2陣として、9604号蒸気機関車を新製せるも、美唄鉄道に於る輸送力の関連から、当線には直接入線せず、美唄鉄道に配属、支援に美唄鉄道より、9217号蒸気機関車を借受け使用せしも、昭和22年9月16日、10粁850米暗梁盛土流出により、顛覆破損後返却、昭和22年12月、9604号の返戻を受け使用を開始せり。

 尚、昭和15年鋼製ラッセル車 キ1を新製翌昭和16年3月入線当鉄道降雪期の安全を確保せり。

三菱大夕張鉄道帽章

9603及び 9604号機

形式96001D形加熱テンダ機関車
製造所日立製作所
製造年9603 昭和12年8月
9604 昭和16年1月

 本形式の特徴は火室面積を得るため動輪上に火室を置いたので缶中心が非常に高いことである。

 尚、本機は、国鉄の9600形式より重く、バック運転しやすいように、特注の炭水車を備えている。

客車 ナハ1

形式 ナハ1半銅製2軸ボギ-客車
製造年昭和12年9月
製造所日本車両東京支店
自重 24屯定員 88人
最大寸法長サ  17,040mm
高サ   3,736
巾     2,720

雪掻き車 キ1

ki1A.jpg (7850 バイト)
形式 キ100番号1
製造年昭和15年
製造所苗穂工機部
自重 28.2屯鋼製ラッセル車
最大寸法長サ 11.388mm
高サ  4.509
巾    4.010

 昭和16年3月入線、キ28の胆振縦貫鉄道えの譲渡に伴い新製、当鉄道降雪期の安全を確保す。

2、 遠幌加別駅の開業

 帝室林野局より、遠幌加別地区原木搬出のため、新清水沢~南大夕張駅間(社起点より3.9粁)に於て、貸切扱貨物取扱の要請あり、

 昭和15年6月15日、鉄道省に対し遠幌加別駅の新設を申請、8月26日、これが認可を得 御料岐線を布設して、9月1日より、貸切扱貨物の社線内取扱を開始せるも、駅舎はなし、南大夕張駅に於て業務の取扱をなせり。

 昭和16年12月1日、発駅を南大夕張として連絡車扱の取扱はなし。

 昭和17年6月1日駅舎を設置(現本屋東方約100米)して駅員2名を配置。

 更に8月1日駅名を遠幌駅と改称し、乗降客を取扱うも、乗車券の発売には至らず。

 昭和18年10月1日、連絡車扱 及び社線内乗車券の発売を開始せり。

3、 宝沢橋梁撤去

 昭和7年9月、町営事業として着工した宝沢道路工事は、宝沢橋梁下流に盛土暗梁として、翌昭和8年1月完工したが、昭和16年、宝沢橋梁桁の一部に亀裂あるを発見、橋梁を廃止築堤線路に変更すべく工事着工。

 昭和19年9月に至り、築堤完成し、30日新線に切換え運転を開始せり。

4、 農場前臨時乗降場

 戦前戦後を通じ、当所住民の食糧難打開の目的を持って、現明石町地区に農場を経営、食料搬出のため、昭和20年5月6日、13粁400米地点に農場臨時乗降場を設置せり。

 更に、昭和21年2月1日、現シューパロ湖駅附近(10粁050米)に、第2農場を経営のため、これを第2農場前臨時乗降場と称し、前記農場前臨時乗降場を第1農場臨時乗降場と改称せり。

 第1農場は、後農場を廃止、当所従業員社宅約300戸を新築し、町名を明石町と称したので、通勤者及び一般旅客取扱のため、昭和25年11月1日より、明石町駅に昇格するまで、又第2農場は二股ダム建設のため昭和32年2月1日これを廃止するまで乗降客の取扱をなせり。

 乗降場は枕木とし、列車は昼間停車するも夜間は通過とし、旅客は外方駅に至る乗車券を購求、集札は車掌の取扱とせり。

5、 C11蒸気機関車

 戦時中、雄別炭砿鉄道株式会社尺別専用鉄道に於て、輸送力増強のため新製入線せるも、直後閉山のため当鉄道に転属。昭和19年1月1日入線せり。

形式 C11、1C2形過熱式タンク機関車
製造所日本車輌
製造年昭和19年7月

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